内容説明
作家の伊瀬忠隆は雑誌の依頼を受けて「僻地に伝説をさぐる旅」の連載を始めた。第一回浦島伝説の取材地丹後半島いらい、彼の赴くところ常に不可解な謎や奇怪な事件が絶えない。そして突然の連載打切り。この企画の背後に潜む隠された意図の存在に気づいたとき、伊瀬は既に事件の渦中に巻き込まれていた。古代史、民俗説話と現代の事件を結ぶ雄大な構想から生れた本格的長編推理小説。
著者等紹介
松本清張[マツモトセイチョウ]
1909‐1992。小倉市(現・北九州市小倉北区)生れ。給仕、印刷工など種々の職を経て朝日新聞西部本社に入社。41歳で懸賞小説に応募、入選した『西郷札』が直木賞候補となり、1953(昭和28)年、『或る「小倉日記」伝』で芥川賞受賞。’58年の『点と線』は推理小説界に“社会派”の新風を生む。生涯を通じて旺盛な創作活動を展開し、その守備範囲は古代から現代まで多岐に亘った
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
74
売れない作家に持ちかけられた「僻地に伝説をさぐる旅」の連載。その取材先で起きた奇怪な事件。最初から何やら理由があって伊瀬を動かしているように見える編集者浜中の言動と、やたらと数字的な符号にこだわる謎の女性の言動。この二人によって、取材旅行は謎めいたものになっていく。そして、事件が起き、真相が明かされるのだが、なんだか少し騙されたような気がしないでもない。2019/04/16
たつや
45
自分には難しい。面白くはなかった。ただ、雑誌「草枕」の枕だけ見て、エロ雑誌と、勘違いするというくだりはわらいました。どことなく、清張さんの自伝的要素も含まれていそうですね。2016/12/12
エドワード
44
売れない作家・伊瀬が依頼された雑誌の企画は、日本各地の伝説の地を訪ねる紀行文だった。編集者の浜中とともに浦島伝説や羽衣伝説の土地を旅する伊瀬は、旅の途中で殺人事件に遭遇し、不思議な数字と出会う。「Dの複合」とは、緯度と経度だ。東経135度、北緯35度で連続して起きる事件。神話、伝説、鉄道の旅。地図と時刻表。清張ミステリーの醍醐味だ。千葉、鳥取、北海道、日本中を駆け回る壮大な旅。次々と現れる謎の人物、そして失踪。高校生の頃に最初に読み、何度読んだかわからない。今読んでも十分面白く、懐かしい風景に出会える。2019/04/15
matsu04
36
あまり売れてはいない作家の伊瀬に小出版社から紀行文執筆の依頼が入り、若い編集員・浜中とともに僻地を回る旅に出るが、ある殺人事件に巻き込まれてしまうこととなり、そうしてその後思いもよらぬ展開に…。で、「Dの複合」という意味不明のタイトルであるが、ふうむなるほど、そういうことであったか。(再読)2023/04/06
金吾
33
以前読んだとき面白かった印象がありましたが、久しぶりに読み直すとなかなか読み進むのに苦労しました。しかしながらつまらないわけではなく、後半は一気に引き込まれました。2020/10/20
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- 和書
- 解析学 〈1〉