感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobi
77
ナチ政権時代にドイツに留まった者と亡命した者、その代表格がフルトヴェングラーとトーマス・マン。カンツォークはその対立を単純化した図式とせず、書簡日記非ナチ裁判記録等の文献を辿ってひたすら地道に当時の状況、二人の主張を検証してゆく。ユダヤ人秘書や演奏家の擁護を含め、身を賭して「政治を超えた芸術家としてドイツにとどまった」大指揮者。一方で裁判での弁明書の内容に敬意を払いつつ、ナチスの蛮行の中で純粋を保つ姿勢を批判した大作家。敬意と批判の間で揺れ動く。事実から見る大切さを再認識。訳者解説も関連書紹介含めて充実。2018/05/02
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