内容説明
「ねえ、お会いするのは今日で最後にしたいの。」アキラの返事も待たず、「さようなら…」と静かに階段を降りて行った。アキラを振り返ることもなく。「あの時からの、僕の知らない、別の歴史を知りたい。あのラストシーンのまま、人生を終える、それはどうしても耐え難い。その後の生きた人生の中で、いつも僕の脳裏を埋めていたあの時のシーンが、あの場所に取り残されたままになっているというのは、やはり辛い」
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- 和書
- 遭難者 角川文庫
「ねえ、お会いするのは今日で最後にしたいの。」アキラの返事も待たず、「さようなら…」と静かに階段を降りて行った。アキラを振り返ることもなく。「あの時からの、僕の知らない、別の歴史を知りたい。あのラストシーンのまま、人生を終える、それはどうしても耐え難い。その後の生きた人生の中で、いつも僕の脳裏を埋めていたあの時のシーンが、あの場所に取り残されたままになっているというのは、やはり辛い」