内容説明
実は、村上春樹は短編がおもしろい。どの作品から読んでいいのかわからない初心者、「長編を読んだけれど難しくて挫折した」人にその魅力をわかりやすく解説する読書案内。ラブストーリーからファンタジー、ミステリー、ホラーなど多彩に展開する村上短編ワールドをより深く楽しめる。
目次
第1章 村上短編とは何か(村上短編ができるまで;長編の原点となっている ほか)
第2章 短編集を読み解く(中国行きのスロウ・ボート;カンガルー日和 ほか)
第3章 そのほかの短編(夢で会いましょう;村上朝日堂超短篇小説―夜のくもざる ほか)
第4章 もっと深く読み解く(書き直しをした作品がある;作品に登場する“よく似た人物” ほか)
著者等紹介
神山睦美[カミヤマムツミ]
1947年生まれ、東京大学教養学部卒。文芸評論家、東進ハイスクール客員講師。2011年『小林秀雄の昭和』(思潮社)で第2回鮎川信夫賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
毒兎真暗ミサ【副長】
27
初期、村上短編集の考察集。まず各々一冊を通したコンセプトを紹介し、各話のテーマを明記していく……のだが、果たして。村上春樹の作品に【正解】なんてあるのだろうか。村上の描く主人公には共感性がなく、むしろ「共感してくれるな」というほど情報が乏しい。なのに「気にしてほしい」と愁波だけ流してくるから厄介極まりない。グルグルしている内にわけの分からない処に吐き出される。わけがわからないから、語りたくなる。レストランで男女が愛を囁くように、村上春樹を考察すること。そんな状況が成立すれば、十二分に春樹の勝利なのだろう。2023/10/15
aloha0307
19
春樹さん作品は、やはりこれまで長編一辺倒であった。短篇(本書にあるごとく、”短編”でなく)の既読は、直近の”女のいない男たち”とNHK語学講座で扱った作品のみ。長短にかかわらず、唯一無二の春樹さん空間が確かにあった。短篇もどんどん読みたいが、すでに多くの積読本...苦笑2017/09/01
ほじゅどー
16
★★★確かに村上春樹の短篇は面白い。中国行きのスロウ・ボート、カンガルー日和、蛍・納屋を焼く・その他の短編、回転木馬のデッド・ヒート、パン屋再襲撃、TVピープル、レキシントンの幽霊、神の子どもたちはみな踊る、東京奇譚集、女のいない男たち。など。全集には書き直したバージョンがある。2017/02/18
aloha0307
15
どの短篇を読むかを拾い出すために再読 あの ノルウェイの森 の原型とも言える”蛍”から始めよう!^^2017/09/02
わんにゃん
3
所々微妙なところもあるが、「村上の小説では、タクシーなどの車内が異界(深層意識の世界)、もしくは異界への入り口になっている」という指摘は面白かった。「テレビ」や「電話」も。2021/11/05