内容説明
一九九四年ルワンダのジェノサイドで約八〇万人が虐殺され、さらに大勢の女性たちが武器としての性暴力の犠牲となりました。そして約二万人の子どもたちが生まれたという事実は、長らく闇に葬られていました。ジョナサン・トーゴヴニクは女性たちにインタビューし、親子を撮影して一冊にまとめました(『ルワンダジェノサイドから生まれて』竹内万里子訳、赤々舎、二〇一〇年)。この作品は発表後、世界各地で大きな反響を呼びました。一二年後、トーゴヴニクは再び親子のもとを訪れ、子どもたちに初めてインタビューしました。そこで彼らは「人殺しの子」と呼ばれ、差別や拒絶の中で生きてきた日々を初めて語ったのです。その一方で母親たちは、一二年間の思いがけない変化を語りました。トーゴヴニクはここで武器としての性暴力という問題とその結果を浮き彫りにしています。性暴力から生まれた子どもたち、その何世代にも渡る複雑なトラウマを。これらの写真と言葉から浮かび上がるのは、希望と許し、壊れやすさ、そしてジェノサイドの深刻なトラウマがもたらした葛藤をめぐる、困難でありながらも意義深いストーリーです。
目次
バレリーとロバート
ウィニーとアサンス
バーナデットとフォースティン
アネットとピーター
ジャスティーンとアリス
ステラとクロード
ベアタとベルティード
イザベルとジャン=ポール
アリンとジャッキー
ジョゼットとトマス
ジョゼットとトマス
クレアとエリザベス
イベットとアイザック
フィロメナとジュリエット
アンヌ=マリーとセレスタイン
ブリジットとエマニュエル
オデットとマーティン
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
テツ
15
1994年のルワンダ虐殺。フツ族により多数のツチ族が僅か100日間の間に50万人以上殺害された。そして戦争やジェノサイドに付き物の性暴力とその末に生まれたこどもと母親の姿。人間は誰しもが生きていれば否応なく苦難に襲われるものだけれど、これは少し重すぎるのではないですか神様。謂れなく生まれを否定され、暴力に晒されて屈辱を味わった体験を罵倒される。フランクルの著書のように「それでも人生にイエスという」ためにはどれだけの力が必要だったのか。もう繰り返してはならない。人は人の尊厳を奪ってはいけない。2022/06/16
ぽん
4
弱い者が自分を守るために攻撃する。他国が介入するのが正しい訳はないのじゃないか、と。 でも、他所の人しか介入出来ない事もある事実。 未来を見つめる事の出来る人は良いけど そうではない人が大勢いて、間違っていると分かっているのにどうにもならない状況が、内面を殺して行く武器なんだろう。無知は罪だ。知らなかった、を増やさないようにしたいものです。2021/01/14
Accoco
3
これは辛すぎる現実、目を背けてはいけないと思いつつわたしには無理だ。愛おしい親子の写真、その裏にある恐ろしい歴史。嗚呼、どうかこの親子たちが今幸せで暮らしていますように、祈ります。2023/02/25
CBF
1
(★★★★☆) 1994年ルワンダのジェノサイドで約80万人が虐殺され、更に大勢の女性が武器としての性暴力の犠牲となりました。そして約2万人の子供達が生まれたという事実は、長らく闇に葬られていました。著者が女性達にインタビューし、親子を撮影して一冊に纏めた作品は、世界各地で大きな反響を呼びました。12年後、著者は再び親子のもとを訪れ、子供達に初めてインタビューしました。そこで彼らは「人殺しの子」と呼ばれ、差別や拒絶の中で生きてきた日々を初めて語ったのです。その一方で母親達は、思いがけない変化を語りました。2020/12/13
takao
0
ふむ2025/05/04