内容説明
市場における観客占有率が「0%に向かって」減少の一途をたどっている独立映画をテーマとした表題作ほか、映画のシーンナンバーをつけられた章が散らばる「セルロイドフィルムのための禅」、公務員試験予備校のあつまる鷺梁津(ノリャンジン)を舞台に、勉強はそっちのけで恋と音楽にのめり込む“俺”の物語「SoundCloud」など。若者たちの若い日々がオフビートに展開する7篇。
著者等紹介
ソ・イジェ[ソイジェ]
1991年、韓国・清州(チョンジュ)生まれ。ソウル芸術大学映画学科卒。在学中に小説を書きはじめ、2018年に中編「セルロイドフィルムのための禅」が『文学と社会』新人文学賞を受賞し、デビュー。2021年に「0%に向かって」で若い作家賞、本書で今日の作家賞を受賞。続く2022年には「頭蓋骨の内と外」で2年連続となる若い作家賞、「壁と線を越えるフロウ」で李箱文学賞優秀賞、『0%に向かって』でキム・マンジュン文学賞新人賞を受賞と、デビュー数年にして数々の名だたる文学賞を受賞している
原田いず[ハラダイズ]
1985年、兵庫県神戸市生まれ。韓国文学翻訳院翻訳アカデミー、同院翻訳アトリエで学ぶ。2020年、新韓流文化コンテンツ翻訳コンクール(現翻訳新人賞)映画部門大賞受賞。韓国文学ZINE『udtt book club』のメンバーとして、未邦訳作品の紹介を行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nightowl
3
解説にあるように、音楽や映画に関係したものが多いサブカル感強めな短編集。冒頭、語り手が友人の死に対し動揺する気持ちをつらつらと書く「迷信」は普遍的。その後からはサブカルの嵐。ずるずるだらだらと時間を過ごしながら若者でいられる最後の日々を綴る。だらしないまま正社員になれず中年期が訪れ、相変わらずぐだぐだと居酒屋で酔っ払っていそうな人々。一番最後に収録された表題作で救われる。商業映画と独立映画を商業演劇と小劇場演劇に置き換えても通じそうで刺さる。夢に憑かれた人々の浪漫を肯定。そんなことも悪くないと思わせる。2025/05/26
ポルポ・ウィズ・バナナ
2
GIRIBOY。パクナモク『未亡人』。地元にセイロンカレーが有名なステーキ屋がある。そのカレーはトッピングでイカの塩辛をつける。この塩辛がめちゃくちゃ美味い。ワインを使ってると聞いたことがあるような。2024/12/12
はしご
0
多すぎるギミックが気になって読んでいても内容があまり入ってこなかった。繰り返しの多用はなかなかペースがつかめずなくて、テンポよく読んだら話が頭に入らず、ゆっくり読んだら勢いが失速。QRコードや数独も邪魔に感じてしまった。チャプターで時系列を入れ替える構造の短編もあまり効果的に思えず。いっそ開くたびにランダムに順番が変わる電子書籍でもあればおもしろいのかもしれない。2025/02/27