内容説明
第一歌集『世界で一番すばらしい俺』で衝撃的なデビューを果たした歌人・工藤吉生の最高傑作。
目次
1(全身にある;ドブだった;カサブタ;ばあ)
2(呼ぶな;デタラメに歩く;なんのために?;食欲と詐欺)
3(せー;彗星の心;うしろへうしろへ;50センチ、または、361キロ;ハーモニー)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
瓜坊
8
いま生きているこの現実の一瞬っていうものは全然面白いものではなくて悲しみとか虚しさとかに溢れてるんだけど、それらを直視する、あるいは距離をとってぼんやり眺めると少し笑えるんだろう。でもこの現実は歌集の題に”夢”と入っているように膨大な夢、つまり永い時間や過去が流れ込んで常に再生産されている。連作”全身にある”の「三秒を静止している重量上げ選手の四年を思う一瞬」はまさにそんな時間を現して、「ボールペン薄くなりゆく 私もう元の世界に戻らなくては」の元の世界は夢なんだろうと思う。2025/01/08
チェアー
6
三秒を静止している重量上げ選手の四年を思う一瞬 時間は主観であって、四年の努力と実際にバーベルを持ち上げている三秒は等価だ。一見等価に見えない時間を比較して、等価だと宣言する作者の度胸は評価したい。 面白い歌がいくつもあった。 2024/06/27
そ吉
2
おじさん版サラダ記念日 日常のあるあるネタが短歌31文字の中に収められており、すごく共感できる歌もある。 「使わないピアノの上が物置になって1オクターブのパンツ」まるでウチを見てうる様だ!! それを受けて一句 「短歌読み 我れのことかと あな不思議」 ★★★☆☆2024/06/05
kumoi
2
「オレはかなり懸命に生きている方だと思うよ。他人の生活を恨んだりしないし、及第点以上の仕事はしているつもりさ。真面目な話、こんなにも健気な人間は他にいないんじゃないかな。」この歌集をサリンジャー風に書けば、こんな感じ。とにかく地に足つけて詠んでる感じが最高にカッコいいんだよ。『チャリが来た 避けようとして傾いたオレと真夏の草のふれあい』この歌なんかは夏草の匂いが急速に感じられるよね。傾き加減もさ、地面すれすれっていう趣きで、マジで神。2024/03/03