内容説明
セックスって本当に必要?恋愛、障害、フェミニズム、男らしさ、アイデンティティ、人種―。「他者に性的に惹かれない」という視点から、私たちの常識を揺さぶる。著者の経験と広範なインタビューにもとづく唯一無二のルポエッセイ。
目次
1 自己(アセクシュアリティにたどり着いて;“否定を通して”説明する;強制的性愛と(男性の)アセクシュアル存在)
2 変奏(お前を解放させてくれよ;ホワイトウォッシュされて;病めるときも健やかなるときも)
3 他者(恋愛再考;十分もっともな理由;他者と遊ぶ、他者で遊ぶ ほか)
著者等紹介
チェン,アンジェラ[チェン,アンジェラ] [Chen,Angela]
ジャーナリスト、ライター。現在、『Wired』の上級エディター。『ウォール・ストリート・ジャーナル』『アトランティック』『ガーディアン』『パリ・レビュー』『ナショナル・ジオグラフィック』などで執筆。エース・コミュニティの一員で、学術会議やワールドプライドを含むイベントでアセクシュアリティについて講演を行っている
羽生有希[ハニュウユウキ]
東京大学、東京工業大学ほか非常勤講師。国際基督教大学ジェンダー研究センター研究員。専門はフェミニズム哲学、クィア理論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ネギっ子gen
50
【「セックスしなくてしなくてもいいんだよ」と聞いた時は、信じられないくらい解放的な気がした】アセクシュアルの著者が、「他者に性的に惹かれない」というアセクシュアル(ACE/エース)の視点から、セックスと社会について綴ったルポエッセイ。巻末に、訳者解説。原注と索引。<多くのエースは、自分が同性愛者だと思い、後になって“同性愛者”が(自分にとって)正しい描写語かどうか思い悩む。他のエースは、“アセクシュアル”という語を自分で見つけ、他の性的指向を見つめたうえで、これが残された唯一の選択肢だと推論する>と。⇒2024/09/02
原玉幸子
17
Sexualityの反義語的なAsexualityの頭3文字を取ってASE=ACEを呼ぶ、性的指向者に関するレポートです。今となっては、若い時ほどには「性こそが自身を語る」とは思わなくなりましたし、性的指向は完全プライベート、即ち他人に口外しないなら何を求めてもいい、逆に常人ぶって他人に(社会的にも)指向を押し付けないことで皆が理解・納得(世界が形成)出来るのであれば、ACEって敢えて分類や定義せずに全ては事足りる様な気がします。「理解が無いから偏見が残る」とは、格好つけ過ぎな言い方?(◎2024年・春)2024/03/23
はるき
8
口語体かつ、当事者のインタビューなので読みやすく分かりやすい。人それぞれ、好きに生きれば良いじゃないか。他人をジャッジしたがる風潮、いい加減止めましょうや😁2024/11/02
♟
5
インターセクショナルな視点でACEの人々の多様な経験が語られていて、目から鱗な話題も少なくなかった。もともと「私はACEではないし」と期待度低めに表紙を開いたけど、あらゆる人に関わる話が論じられている。性的同意はイエスかノーで問えないこと、ACEとフェミニズムの関係について(女性もセックスに積極的であるべきという考えには私も今まで半分陥ってしまっていた気がする)など。ACEを解放することは人種差別や女性蔑視と相容れないことで、全ての人を救う可能性があること。中で紹介されていた他の論文や本にも触れたい。2023/08/25
いさな
4
恥ずかしながら英語的な言い回しに不慣れでちゃんと読めている自信がない。共感した所もたくさんあったけど、アセクシャル自認していながら理解できない所も多かった。 それはともかく、とても良い本だったと思う。周縁化、透明化されやすいAスペクトラムについてこれ程のボリュームの本があることが嬉しい。 驚いたのは、宗教や、人種などのステレオタイプとアセクシャルという自分のセクシャリティとの狭間で苦しんでるいる人達がいるのだということ。日本で日本人として暮らしていると気づかないような葛藤もあるという事が知れて良かった。2024/02/29