内容説明
存在の眩しさ、そして儚さをめぐる264句。
目次
1 ルーペ
2 別れの日
3 音信不通
4 瑠璃子
5 言う
6 ラッシュ
7 居候
8 楡の茂る頃とその前後
著者等紹介
藤田哲史[フジタサトシ]
1987年三重県生まれ。2010年『新撰21』(筑紫磐井、対馬康子、高山れおな編著、邑書林)に入集。2017年『天の川銀河発電所Born after 1968現代俳句ガイドブック』(佐藤文香編著、左右社)に入集(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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豆ぐみ
3
1987年生まれの作者の第一句集。好きな句は〈長閑なり誰かが浜に残す線〉〈画廊まで歩くを雹が急き立てる〉〈マフラーして試聴のために佇める〉〈吸熱シートいつ剝がれけむ今日も風邪〉〈朝曇シャワーカーテン貼りつく背〉〈つとめてのひとの温もり積もる雪〉〈花過の海老の素揚にさつとしほ〉〈玄関に寮の俤夏蜜柑〉〈朴落葉一枚拾ふ会ひたいとき〉などなど。装丁も素敵。2020/03/29
Cell 44
2
「アイスコーヒー空青きまま夜に入る」「回国王臣鏖豆の花」「葛の葉やワイパーのあと扇形(なり)」「そして木が榠櫨を容(かたちづく)るころ」「言(ものい)うと風邪声同士宙に月」「お座なりの如雨露の内も氷です」「型を出て食パン四角花のころ」「朴落葉一枚拾ふ会ひたいとき」抒情のための確かな技術でもなく、技術的な抒情でもなく、技術という抒情という一塊のものを感じながら読んでいたーーこの感覚はもう少し正確に整理せねばならないが。ともかく、文体の種々の実験も含め俳句という器を静かに擽る、瀟洒ながら頗る愉快な句集だった。2020/12/03