内容説明
理想の生き方の原点がここにある!鴨長明、兼好から一葉、鴎外、漱石、森茉莉、吉田健一まで、住まいの描写からみる文学の多様性。
目次
草庵・閑居・廃園の文学誌
『方丈記』―草庵記の誕生
『徒然草』―住まいを論評する
風雅な庭園―中世文人の造園趣味
近世前期の住居記―木下長嘯子から芭蕉まで
閑居記のユーモア―横井也有と大田南畝
廃屋と陋巷―樋口一葉と泉鏡花
市隠への憧憬―夏目漱石と森鴎外
近代の散策記―佐藤春夫から野田宇太郎まで
草庵記の継承―森茉莉の世界
住まいと文学のゆくえ―吉田健一の世界
著者等紹介
島内裕子[シマウチユウコ]
国文学者。専門は、『徒然草』を中心とする批評文学。古典と近代、文学と絵画、文学と音楽、日本と西洋などを響映させる手法で、新たな研究を展開している。放送大学教授。1953年東京に生まれる。1979年東京大学文学部国文学科卒業。1987年東京大学大学院博士課程単位取得退学。1991年放送大学助教授。2009年博士(文学)(東京大学)。同年放送大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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竹香庵
1
もう少し仏法視点での住処について論じられているのかなと思っていたのだが、意外と近代まで、それも草庵ではないお屋敷についての、文学史的な視点からの本だった。西行・芭蕉と、長明・兼好では、その系譜が微妙に違うのだろうか。長明までは西行・芭蕉にも繋がるように思うのだが、どう考えても鴎外ん家は草庵ではない。お手伝いさんまでいそうな、ナントカ伯爵邸などを思わせるお屋敷っぽい。となると、草庵と草庵文学とお屋敷とを同列に読んでいても、あんまり仏法の清貧さなどの学びにはならなかったような…。でもこの本自体は興味深かった。2019/12/22