内容説明
水晶の夜の2年前、1936年3月のフランクフルト。ヒトラー総統の来訪に沸き立つ街で、19歳のザナは兄嫁が開くパーティーの準備に奔走していた。食い扶持を稼ぐためにナチスにおもねらざるをえない小説家の兄、愛と夢に生きる兄嫁、美しい友人とそのユダヤ系の恋人、仕事を干された反ナチのジャーナリストに、親衛隊や突撃隊の青年たち。ザナの周りの人々は、それぞれの生活と思想を守るのに精一杯だ。パーティーの夜、恋人フランツがケルンからザナを訪ねてくる。ある凶報とともに…。ワイマール時代を代表する女性作家が、ナチスが台頭する瞬間のドイツをリアルタイムで描いた群像劇。
著者等紹介
コイン,イルムガルト[コイン,イルムガルト] [Keun,Irmgard]
ドイツの作家。1905年、ベルリン生まれ。ケルンで育ち、俳優を志したのち、執筆業に転向する。1931年に『オフィスガールの憂鬱―ギルギ、わたしたちのひとり』(原題Gilgi eine von uns、関西大学出版部)、1932年に『人工シルクの女の子』(原題Das kunstseidene M¨adchen、同)を上梓し、ベストセラー作家に。1933年にナチスが政権を握ると、反体制作家とされて迫害を受け、オランダへ亡命して、本書を含む多数の小説やラジオドラマの執筆を続けた。1982年没
田丸理砂[タマルリサ]
フェリス女学院大学国際交流学部教授。首都大学東京で博士号(文学)を取得。おもにワイマール共和国時代の女性と表現について研究している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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