内容説明
「わたしはおおきくなったらぜったいけっこんしません」そう書いた少女は15歳のとき、パンクロックに恋をした。父のDVから逃れるように、サンフランシスコに見つけた光あふれる部屋に住み、安宿のフロント係をして生活の糧を得、女に向けられる好奇と暴力をくぐり抜けた。書くことに飢えていたソルニットが作家になるまで、その生々しい痛みと不安とためらい、手放さない希望を描く。“マンスプレイニング”を世に広めた新時代のフェミニズムを代表する作家ソルニットの歩んだストーリー。
目次
鏡の中の家
霧笛とゴスペル
戦時下の生活
消失の技法
夜、自由に
エッジの効用
難破船へ潜る
声と信用と重み
あとがき 生命線
著者等紹介
ソルニット,レベッカ[ソルニット,レベッカ] [Solnit,Rebecca]
1961年生まれ。作家、歴史家、アクティヴィスト。カリフォルニアに育ち、環境問題・人権・反戦などの政治運動に参加。1988年より文筆活動を開始する。エドワード・マイブリッジ伝River of Shadous(全米批評家協会賞)、「マンスプレイニング」という語が世界的に広がるきっかけとなった『説教したがる男たち』など多分野に二十を越す著作がある
東辻賢治郎[トウツジケンジロウ]
1978年生まれ。翻訳家、建築・都市史研究。関心領域は西欧初期近代の技術史と建築史、および地図(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
92
フェミニズム、ウーマンリブ、“Me Too” ミソジニー、などに関心のある方には励まされ鼓舞される書。「父のDVから逃れるように家を離れ、サンフランシスコの安アパートに見つけた自分の部屋。女に向けられる好奇や暴力、理不尽の数々を生き延び、四半世紀暮したその部屋でやがてソルニットは作家になった」というソルニットの自叙伝である。2022/01/10
どんぐり
88
一瞬、キャリー・マリガンかと見紛うほどの女性が写ったブックカバー。♯MeToo運動とともにフェミニズムの騎手といわれ、社会活動家でジャーナリストのソルニットの最新翻訳である。この写真に若かりし頃の「顔はまだどこか幼く、華奢な背中をして、肘までの黒い手袋をしている。私は、自分の影に身を隠そうとしている」と自分を述懐する<消失の技法>をはじめ、あとがきを含めて9篇のエッセイが収載されている。彼女の政治的にも発言する論調は、スーザン・ソンタグを想起させるものがある。→2022/05/26
ネギっ子gen
50
【私にとって天国とは到着するべき目的地ではなく、 方角を知るための北極星のようなものだ】 “マンスプレイニング”を世に広めた新時代のフェミニズムを代表する作家による、立ちはだかるものや敵意についての本であり、自分の存在を回復し、それを書くことで私たちを解き放つ物語。直訳の原題は『私の非存在の回想』。<19歳のシルヴィア・プラスは悲嘆に暮れていた。「私はみんなと話がしたいのです。私ができるいちばん深い話を。空の下で眠りについてみたいのです。西部に旅に行きたいのです。夜、気ままに歩いてみたいのです」>と――⇒2024/11/05
uniemo
23
自叙伝なのですが、一人の女性が自立して作家となるまでを描くことで、女性に起こりえる沢山の理不尽さの告発ともなっています。自分が経験してきたことを新しい視点からも考え直すきっかけとなり得る本でした。2022/03/15
yuki
10
ソルニットが誕生するまでのヒリヒリした言葉が突き刺さってきます。「何かを選ぶこと、どこに辿り着くのかを知らないままに歩み始めることの不安と高揚」それはいつになっても持っていたい緊張だと思います。さらにソルニットを読んでいきたい。2024/01/11