目次
1 26首の短歌
2 連作(猫は連れて行けない;祈りの儀式;ミナオダヤカニスゴセマスヨウ;秋の帽子)
3 サバイバーストーリー(「まさか私が…」の、そのまさか/はろさん;十七歳 失った最後の青春によって得たもの/炭酸水子;揺れる思いと向き合う日々/金塚敬子;嫌な待ち時間も優しい時間に/猫由;空っぽの心に響いた応援歌/佐々木千津 ほか)
忘れても大丈夫(岡野大嗣)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かっぱ
48
26人の女性がんサバイバーの短歌集。「あの日の風を記憶する」、そんな言葉に惹かれて、忘れがたい瞬間を短歌にするため、岡野大嗣さんが短歌教室に寄せられたサバイバーたちの歌を編集。女性がんサバイバーたちの心のうちが、短歌を通じて伝わってくる。2021/04/11
けんとまん1007
43
いのちを思う。家族を思う。自分自身の存在を思う。昨日・今日を思う。明日を思う。未来を思う・・・ここが難しい。痛いほどわかる1冊。2022/01/09
なつ
36
私はグレーが嫌い。色としてのグレーは大好きで今着ている部屋着も実はグレー。嫌いなのは物事が中途半端な状態を指す場合のグレー。黒か白か常にハッキリさせたい。しかも、なるべく早く、明確に。そんな私なので、このタイトルを目にした瞬間、手に取らない選択肢は無かった。内容を想像することなく中を開いて息を呑んだ。感想なんて…容易く書けるはずがない。どれだけの覚悟と勇気。同じだけの恐怖と不安。渦巻く現実過去未来。26人が31字に込めた『口ずさめるお守り』。皆さんに降り注ぐ光がグレーではなく、虹色であることを心から祈念。2023/11/24
さく
20
26人のがんサバイバーたちの詠んだ短歌。その時その時の、彼らの感情が、短歌として時を止めてここにある。癌になった私の母は、こういう短歌集を読んだら励まさせたりするのかな、どうなんだろう。「見たらわたしよりも苦しむのだろうか 母がまだ見ぬ胸のきずあと」(8p)そうだろうな。お母さん、辛いだろうな。「蝉の声まぶしく耳をつんざいて歪んだ脳に『生きろ』と響く」(90p)脳転移を告げられ緊急入院した時に、眩しく強い蝉の声が聞こえ、それが自分への応援歌のように聞こえた。情景が、浮かんでくる。2024/01/21
akarick777
9
ご縁があってこの本を手に取った。がんサバイバーの方が詠む短歌には、光と闇をいったりきたりする様子がありありと描かれていた。まさに、タイトルになっている一首がそうだ。西淑さんのイラストで、少しホッとする。2021/03/22