内容説明
茶室の中の季節の花、道具、お菓子…。著者自身が描いた73のイラストと、心に沁みる珠玉の言葉。
目次
年のはじまり(初釜の朝;風花)
春 「光」から始まる(不苦者有知;梅一輪;薄氷;おぼろ月;春うらら;花嵐)
夏 「水」の美しさ(水辺;入梅;七夕;潮騒;蝉しぐれ)
秋 透き通った「風」を聴く(清風萬里;菊の香;月の頃;実り;木枯らし)
冬 「火」を見つめる(初霜;冬至;埋み火)
著者等紹介
森下典子[モリシタノリコ]
エッセイスト。1956年、神奈川県生まれ、日本女子大学文学部国文学科卒。十八年にわたるロングセラー『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』(新潮文庫/飛鳥新社)が、2018年に映画化される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゃちゃ
120
翳りゆく秋の夕陽に切なさを感じ、日に日に弱くなる虫の音に冬の足音を聞く…。日本に生まれた私たちは、知らず知らず五感で季節を感じながら暮らしている。日本文化も、四季の移り変わりを繊細で豊かな感性で捉え表現してきた。「お茶」と出会って四十数年、森下さんはお茶とともに一期一会を楽しんでこられた。季節ごとの茶碗、茶器、茶花、和菓子…、温かみのある柔らかなタッチで描かれたイラストと文は、季節の恵みを慈しみ愛おしく思う心の表れなのだろう。日本に生まれ四季の自然と共に生きる幸せを、しみじみと感じさせてくれる「絵巻物」だ2020/10/29
たいぱぱ
98
「味のある」美味しそうな絵がたまらん!なんて食いしん坊丸出しな感想の冒頭で申し訳ありません。映画化もされた大傑作エッセイ『日日是好日』のシリーズ第三弾は森下さんが描きたいと思ったお気に入りの茶道具、茶花、和菓子(これを待ってたよー!)のイラストに短い文章を添えたイラスト 詩集のような一冊。これまた手元に置いて置きたい作品です。短い文章に森下さんの感性が垣間見えて、その感性の豊さに「同じ世界を見ていても、僕と違って見えるんだろな」と思わずにいられない。毎年、景色が違う世界が見れるような歳の取り方をしたいな。2020/10/05
Kei
92
お軸、お花、お道具、そしてお菓子!狭いお部屋に季節の小宇宙。本当に素敵〜〜。著者を若い娘さんのように思っていたら、歳上の方でした。春は光から始まる 夏は水の美しさ 秋は透き通った風を聴く 冬は火を見つめる かくありたし!2020/10/01
akiᵕ̈
86
40年以上お茶を習い、道具やお菓子、季節の花から移り行く四季を存分に体感し、慈しんできた著者ならではの一冊。絶妙なタイミングで使い分ける道具やお供の和菓子など、森下さんが描いた優しい挿絵になんとも興味をそそられます。春は光、夏は水、秋は風を冬は火を。春夏秋冬を五感で味わい尽くせる茶道の奥深さというものは、日本人だからこそ感じ取れるものなのではと思います。見ていて日本がとても愛おしい!と思わずにはいられない素敵な一冊。2020/07/08
ぶんこ
83
森下さんがお茶の先生宅で出会った美しい物、美味しい物をお得意の絵に残した絵本のようでした。お茶の世界の奥深さ、日本の四季のうつろいの色鮮やかなことが伝わってきて、あらためて日本の良さにしみじみとします。驚いたのは、平安時代に重陽の節句の朝、真綿を菊の花に載せて、香りの朝露をしみ込ませ、それで体を拭く「着せ綿」という行事があったと書かれていて、なんて奥ゆかしいことよ!遥か昔から日本人のささやかな香り、音などを愛でる感性が受け継がれてきたこと、その一端に茶道があったとわかる。武田先生の感性の素晴らしさに感動。2020/10/06