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内容説明
動物や世界から切り離された人間はいかにして個としてその生を全うするか。バタイユの絵画論と文学論に共通する地平を「幼年期」への志向に見いだす、新鋭による果敢な読解。
目次
第1章 バタイユにおける芸術の位置づけ―「アンフォルム」から「幼年期」へ
第2章 絵画のインファンティア―ゴヤとマネ
第3章 「幼年期」の芸術家と文学―ニーチェからカフカへ
第4章 悲惨な生とフィクション―モロイ、浮浪者、遊ぶ者
第5章 性愛文学と遊戯的理性―サド
第6章 性と死のイメージ―エロス
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
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カフカの「子供っぽさ」は絶えず規則に従っていながらも、その裏をかくようなものであれば、ベケットは寄る辺のない浮動=放浪によって小説を書くという行為自体に埋まらない「傷口」を与える。両者共に文学の持つ有用性からの断絶/隔絶を徴づける無益な「消尽」の可能性が追求される。恐らく、その近傍にはモダニズム芸術の始まりとしてのマネ、或いはラスコーの壁画という芸術活動の始まりまで射程を広げることが出来る。2024/02/24
真魚
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バタイユの芸術論を「幼少期」をキーに読み解いていく論文で最高に面白かった。特に一章から五章が好き。社会的な主君に従属しない意思に「至高性」を見出すバタイユ、その反抗の手段として再び見出された幼少期という形態について。第三章「幼少期の芸術家と文学――ニーチェからカフカへ」までが特に面白かったな。カフカの文学のもつ至高性を幼少期、子供らしさから読解したバタイユの文学論を読み解くことで、逆にバタイユが幼少期、子供という態度にどういう価値付けをしていたのかを炙り出す章。良き本でした。2020/06/16