内容説明
サルトル倫理学には、本来的自由に立脚した個人主義的倫理学(第一の倫理学)から、具体的歴史のなかで生きる全体的人間を主題にした歴史的、社会的倫理学(第二の倫理学)への移行が見られる。換言すれば、人間を、孤立したもの、自己閉塞的なものと見なす立場から、自己と他者とのあいだの相互性を具体的に生きるものと見なす立場への発展が見られる。サルトルが求める倫理的態度とは、人間らしい人間になるという無条件的可能性の名の下に、伝統的規範を反復することを拒否し、状況に見合った新たな規範を案出する態度である。サルトルは、規範(倫理)と歴史の矛盾・対立をとおして生きる人間の姿を描こうとした。本書では、こうして構想された弁証法的倫理学を、サルトルの1960年代の草稿などの読解を通じて分析する。
目次
第1部(神・本来性・全体的人間;サルトル哲学と神の観念;サルトルにおける倫理と政治)
第2部(倫理的規範と人間的実践(1)―遺稿『倫理と歴史』(コーネル大学講演)についての研究
倫理的規範と人間的実践(2)―遺稿『倫理と歴史』(コーネル大学講演)についての研究(続)
命令と価値―「弁証法的倫理」のための論考をめぐって)
第3部(“非‐知(non‐savoir)”と“なるべきである(avoir `a ^etre)”―『主体性とは何か?』をめぐって
「全体化するものなき全体化」について
倫理と歴史の弁証法)
著者等紹介
水野浩二[ミズノコウジ]
1952年生まれ。北海道大学大学院文学研究科哲学専攻博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。現在、札幌国際大学人文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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