内容説明
狂気に陥るまえのヘルダーリンがみずから公刊した最後の詩のひとつである『生のなかば』。抒情詩の傑作として愛誦されてきたこの短詩のうちに密かに埋め込まれた神話論的な寓意を、緻密な韻律分析と丹念な文献考証をつうじて鮮やかに解き明かす。ひとつのテクストを徹底的に精読することではじめて開かれる、無限の解釈の地平。
目次
“ミッドライフ・クライシス”についての詩?
韻律による詩の署名としての(サッポー風の)アドーニス格
サッポーとディオティーマ
ヘルダーリンのサッポー
アドーニス格からアドーニスへ―古典古代の美の神話の再定式化としての『生のなかば』
アドーニス、ナルキッソス、美しい白鳥たち
ヘルダーリンによる美の“理論”
「完璧な抒情美」の対極的な原像としてのサッポーとアルカイオス、および自由韻律体の言語という媒体における両者の断片的な現存
おのれのうちなる詩の葛藤
ヘルダーリンの長大なピンダロス風の詩におけるサッポー的な契機?
『生のなかば』と『あたかも祭りの日に』
垂れること-立ちつくすこと-漂うこと
著者等紹介
メニングハウス,ヴィンフリート[メニングハウス,ヴィンフリート] [Menninghaus,Winfried]
1952年生まれ。マールブルク、フランクフルト、ハイデルベルク、ベルリンでドイツ文学、哲学、政治学を学ぶ。ベルリン自由大学一般文芸学・比較文学科ペータ・ソンディ研究所教授を経て、2013年にフランクフルトに創設されたマックス・プランク経験美学研究所で「言語と文学」部門のディレクターをつとめる
竹峰義和[タケミネヨシカズ]
1974年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科准教授。専門は、ドイツ思想史・映像文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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