内容説明
写真‐社会‐芸術、写真史と写真の論理を読み解く重要論考五篇を収録。編訳者による詳細な解説を付す。
目次
1 『写真家の眼』序論(ジョン・シャーカフスキー)
2 モダニズムを解体し、ドキュメンタリーを再創案する―表象の政治学についての覚書(アラン・セクーラ)
3 写真とシミュラークルについての覚書(ロザリンド・クラウス)
4 「取るに足らないものの印」―コンセプチュアル・アートにおける/としての写真の諸相(ジェフ・ウォール)
5 スナップ写真―美術史と民族誌的転回(ジェフリー・パッチェン)
著者等紹介
甲斐義明[カイヨシアキ]
1981年生まれ。専門は写真史および近現代美術史。ニューヨーク市立大学大学院センター博士課程修了(Ph.D.in Art History)。2013年より新潟大学人文学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ほじゅどー
9
★★★海外の写真理論5篇。写真を芸術作品として、人間の表現行為として思考する。そしてプロの写真とアマチュアの作品に言及する。無名のアマチュア写真が時に美的に優れたものになり得る点が機材を用いる写真の特徴でもある。但し、野球に例えるとアマチュアもヒットを打つことはあるが、プロはそれとは比べものにならないほど高い確率でヒットを打ち、しかも狙ったところへ球を運ぶことが出来る。2017/11/23
moi
4
良書。未訳の論文のアンソロジーで、それぞれの論者は異なる観点・主張を持つものの、どれもが「スナップ/アマチュア写真」への言及が含まれているという点から、訳者の解説によって相互的に関連させながら読むことができる。新訳・注釈・解説・ブックリストなど、すべて親切。解説での各論文に対する距離を置いた批判的な指摘も卓抜している。写真という媒体とは、アヴァンギャルドでありキッチュであるという言い方が一番しっくりきた。あと、ジェフリー・バッチェンのハル・フォスター及び『オクトーバー』批判が最高。訳者も彼に学んだらしい。2021/10/21
yo_c1973111
1
シャーカフスキー、アラン・セクーラ、ロザリンド・クラウス、ジェフ・ウォール、ジェフリー・バッチェンの写真に関する論文集。まぁ~難しい。編訳者:甲斐義明の解説(本書構成の1/3)がなければ理解が厳しい。一貫して写真はいかにして芸術たらしめるのか、といったことを右往左往しながら論じられている。アート作品をアウラの観点で束縛的に検討しないところは国内論議よりも現実的。またクラウスの論にてシンディー・シャーマンをジェンダー論を避けて考察するあたりも現実的で好感がもてる。ただ、これを再読するならほかの本を読む。2019/05/22
Shun'ichiro AKIKUSA
0
スナップ写真をどうするかについての論文、遠読っぽい。2018/03/27