内容説明
世界言語としての写真という記号をめぐる事典。黎明期からデジタルメディア時代まで、アルファベット順に55項目のキーワードで写真作品(ニエプス~アーバス)を読み解く。数々の写真論(ベンヤミン~クレーリー)の引証を交えつつ、“映像=表象”をめぐる隠喩の星座がもつ写真史的布置を浮かび上がらせる、光と影のアルバム。
目次
等価
写真の文盲
アーカイヴ
復活
眼
瞬間
消去
獲物
図書館
邪視〔ほか〕
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
dilettante_k
3
2015(原著2006)年刊。写真の映像とは、当初は同語反復のような違和感があった。著者は、写真が映し出す映像(Bild)、あるいは映像を切り出す技術としての写真に関する無数の言説を取り上げ、復活、瞬間、記憶、啓示など55編の断章を辞書形式にまとめる。キーワードをシャッフルし相反する言説を並置することで、写真とその映像の間に横たわる距離は曖昧になり、写真が標榜する明証性もおぼつかないが、キーワードの連関が織りなす布置が写真の新たな可能性を開く。章ごとに著者所蔵の写真が配され、理解の糸口、例示となっている。2016/01/24