内容説明
作者ブランショの死から2年後、幻のデビュー作『謎の男トマ』1941年初版がピエール・マドールの序文を添えて再刊された。刊行より64年を経た復活。同作の新版が出版された1950年から数えると55年後である。後にも先にもブランショが自ら大半を削って版を改めた作品はこの『トマ』しかない。発売後幾度となく重版されていたというのになぜ初版は破棄されたのか?作家の出発点にして、その後の著作群の基底をなしたこの最初の『トマ』が?「どんな作品にも無数の異文がありうる」と彼は新版の冒頭に書いた。そこにおいて陥没し不可視となっていたあまたのテクストが、復刻によっていま再び召喚される。
著者等紹介
ブランショ,モーリス[ブランショ,モーリス] [Blanchot,Maurice]
1907年9月22日、フランス、ソーヌ=エ=ロワール県のカンに生まれる。30年代初めからジャーナリストとして文筆活動に入り、41年に最初の小説『謎の男トマ』(初版)、43年に最初の評論集『踏みはずし』を刊行し、以来、作家・批評家として活躍。60年代以降は文学のみならず哲学、政治、社会問題などについて考察したテクストも増え、断章のみで構成された書物を出版するなど新しいエクリチュールの実践へと赴いた。2003年2月20日死去
門間広明[モンマヒロアキ]
1976年宮城県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科フランス文学専攻博士課程満期退学。現在早稲田大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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