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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジャズクラ本
17
郷愁を楽しむ写真集かと思い手に取ったが、90年代が掲載されているし、作為的に貧困を切り取った痕跡も見え隠れするので、どうも変だと思ったら農民運動やプロテスタントの環境下で強くその影響を受けている写真家によるものだった。これはこれで悪くはないのだが求めていたものとは若干異なり多少残念。インタビューを読むとなかなか壮絶な写真家ではある。P49の祭りのあとの女の子の寂しそうな表情が実に良い。野坂昭如が田中角栄にぶつけて新潟三区から立候補した時を記録した写真集「野坂昭如、新潟三区の闘い」は一度見てみたいと思った。2020/07/14
遠い日
10
日本の数カ所のドヤを写し取り、そこに暮らす子どもたちのリアルな姿に圧倒される。1980年代、1990年代でさえ、わたしが生まれた50年代に通じる匂いを纏っている。子どもの笑顔は強いな。インパクト大だ。その一瞬を迷うことなく生きているからだろう。2020/09/05
itokake
9
骨太な写真集。アンコちゃん(日雇い労働者)や腰がまがった行商のお婆さんといった被写体が持つ、生身の人間感。そして、背景にたまたま映り込んだ一昔前の生活感。それは、小さくぶら下がる「貸本」の看板だったり、お尻をべたっとつけて座り道路に何かを一心に描く女の子と、それを見守る箒を手にしたおばちゃんだったり。道端に衣類を広げて売る露天商の母子の前を歩くのは、片足を無くした傷痍軍人か。著者は釜ヶ崎や山谷、各地の工事現場を渡り歩いて働きながら撮影。まず暮らし、そして関わり、最後に撮る。そんな姿勢が伝わってきた。2022/01/05
チェアー
6
子どもは釜ヶ崎にいても山谷にいても沖縄にいても、その場の微妙な空気を読み取り、適合しようとする。大人が思っているよりずっと場の空気を感じ取っている。 だから、貧しくても楽しそうなのだ。どんなに大人が貧しくても、それを笑い飛ばすくらいの余裕があったのだ。 それらの写真は写真家の生活のおこぼれだ。写真を目的とせず、まずその場に飛び込んで経験できることをする。それが彼の写真の核心だ。だから、この写真は彼の写真だ。2022/12/25
ノビコ
4
逞しくパワフルな子供達。2022/08/27