出版社内容情報
レジャーと治療、自然のスペクタクル、社交と娯楽、投機と事業、源泉所有権をめぐる資本所有者たちのたくらみと諍い、恋愛と姦通――温泉リゾート「モン?オリオル」を舞台に種々様々な人間たちの「感情」が絡み合う、モーパッサンが描く一大〈人間喜劇〉。
内容説明
レジャーと治療、自然のスペクタクル、社交と娯楽、投機と事業、源泉所有権をめぐる資本所有者たちのたくらみと諍い、恋愛と姦通―温泉リゾート「モン=オリオル」を舞台に種々様々な人間たちの感情が絡み合う、モーパッサンが描く一大“人間喜劇”。
著者等紹介
モーパッサン,ギ・ド[モーパッサン,ギド] [Maupassant,Guy de]
1850‐93。ノルマンディー生まれのフランスの小説家。『オルラ』『手』『首かざり』などの短編や時評、『女の一生』『ベラミ』などのシニカルな作風の小説で知られる。1880年、ゾラたちと発表した『メダンの夕べ』所収の『脂肪の塊』で一躍有名になる。流派に属さず、フローベールとブイエから強い影響を受けた。すべてを見、眼差しによって理解しようというモットーのもと、冷徹な人間観察と自然描写が際立つ作品を多く残した
渡辺響子[ワタナベキョウコ]
東京大学大学院(総合文化研究科)博士課程単位取得退学。パリ第三大学で文学博士号取得。現在明治大学法学部教授。専門はゾラ、サンド、モーパッサンを中心とする十九世紀フランス小説(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイトKATE
30
タイトルの『モン=オリオル』は、フランス中南部オーヴェルニュ地方の温泉リゾート施設の名前で、モン=オリオルを舞台に様々な登場人物の人間模様が、ドタバタ喜劇として描かれている。例えば、ユダヤ人銀行家アンデルマットの妻クリスチアーヌは、モン=オリオルの仕事に夢中な夫をよそに兄の友人のポールと不倫をするのだが、クリスチアーヌとポールが交わし合う愛の言葉はどこか滑稽でありモーパッサンが描く描写は皮肉に満ちて読んで笑ってしまった。一方で、当時の女性蔑視な台詞が散見して閉口するが、概ね喜劇として面白く読めた。2023/07/30
星落秋風五丈原
25
大正時代に翻訳された際は、『湯の町の恋』だったそうだ。そもそも、日本と海外では温泉のイメージが異なる。海外では、医者の処方に従って、今でも温泉水を飲むらしい。昭和の翻訳タイトルは『恋のモントリオル』、こちらもただ恋と地名を結び付けただけ。『秋風記』は、時代小説のようだ。今回の、原題そのままの方が、しっくりくる。ちなみに、モン・オリオル=モントリオールである。〈ルーゴン゠マッカール叢書〉で温泉地を舞台に小説を書こうとしていたゾラは、本作でモーパッサンに先を越されて諦めたそうだ。 2024/06/25