出版社内容情報
地下鉄サリン事件を起こした麻原彰晃へ、小説家としての「負い目」を感じる村上春樹――『アンダーグラウンド』以降、どのようにこれを払拭するのか? 『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』をメタファー物語論で読み解き、村上春樹の新たな挑戦と試みを差し出す画期的な論考。
内容説明
地下鉄サリン事件を起こした麻原彰晃へ、小説家としての「負い目」を感じる村上春樹―『アンダーグラウンド』以降、どのようにこれを払拭するのか?『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』をメタファー物語論で読み解き、村上春樹の新たな挑戦と試みを差し出す画期的な論考。
目次
第1章 アクチュアルかフィクショナルか―大江健三郎の批判がもたらしたもの
第2章 小説家の負い目―麻原彰晃に負けた村上春樹
第3章 メタファー・ゲームとしての物語
第4章 華やぐメタファー―『海辺のカフカ』を読む1
第5章 量子論的な不可能性をどう回避するか―『海辺のカフカ』を読む2
第6章 1Q84年あるいは月が二つ浮かぶ世界―『1Q84』を読む1
第7章 メタファーと物語のモーメント―『1Q84』を読む2
第8章 二つの障害「騎士団長」の出現と「秋川まりえ」の失踪―『騎士団長殺し』を読む1
第9章 消滅と出現のメタファー・ゲーム―『騎士団長殺し』を読む2
第10章 記号操作からメタファー構造へ
感想・レビュー
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OHNO Hiroshi
7
筆者は1951年生まれ、村上春樹と同時期に早稲田のキャンパスにいたが当時は接点がなかった。専攻はフランス文学、文芸批評、早稲田大学教授。『最後の小説』大江健三郎のエッセイにおける能動的な戦後作家に比べ今流行りの受動的な村上春樹はどうやねんという批判を受け、同じ『世界』誌上で河合隼雄との対談で反駁し、『ねじまき鳥クロニクル』で大江の『雨の木(レインツリー)』の主人公同様、ねじまき鳥の主人公をプールで泳がせる。 紅茶に浸したマドレーヌのような村上作品を持ち上げ過ぎ。ビールとパスタで読む小説ばかりなのだから。2022/02/13