内容説明
イタリア人に最も愛された大詩人にして、ショーペンハウアー、ニーチェ、ベンヤミン、カミュ、夏目漱石、芥川龍之介、三島由紀夫ら東西の文人に影響を与えた19世紀イタリアの思想家・哲学者レオパルディ―実存主義に先駆けた、「人間と事物の本性」をめぐる遺作の哲学散文集。
目次
断想集
附録
著者等紹介
レオパルディ,ジャコモ[レオパルディ,ジャコモ] [Leopardi,Giacomo]
1798‐1837。イタリアの詩人・哲学者。中部イタリアの小村レカナーティに生まれる。崇高な抒情詩と深い哲学的考察によって知られ、ウンガレッティの詩法、パヴェーゼの神話的世界観など、後のイタリア文学にも大きな影響を与えた。主著に、散文集『オペレッテ・モラーリ』、詩集『カンティ』がある
國司航佑[クニシコウスケ]
1982年、東京生まれ。2015年、京都大学にて博士号(文学)を取得。現在、京都外国語大学専任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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H2A
15
名前はちょっと有名なレオパルディの晩年のアフォリズム集。といってもフランスモラリストのような警句の響きが刺さるという体だけではなく、市民社会との対立や孤独や厭世観に表現を与え、次の次代の哲学を先取りした内容の方がより深い意義を持っているということだろう。近代のイタリア文学は日本では少し影が薄いようにも思うが、もっと手に入りやすい形になればと願う。読みやすいし、ちょっとだけユーモアものぞかせて、修辞的にもそうだろうが内容も深く表現がとても個性的。2021/03/13
刳森伸一
5
イタリアの詩人ジャコモ・レオパルディによる晩年の断想集。パスカルの『パンセ』等を意識した人間に対する深い洞察から得たであろう哲学的な断想はユーモアとアイロニーを交えながらも格調高く綴られている。端々から見え隠れする悲観的、厭世的な思想は好みではないものの、深く首肯する見解も多く、色々と考えるきっかけになった。2021/04/01
きぃ
2
「一般に賞賛の的になっている人物にあって、その賞賛が自らの口から始まっていない人物は稀にしか存在しない」ーー人間や社会に対する本質や本性へ物凄い切れ味で切り込んでくる。確かに夏目漱石の社会や人物への皮肉な正論やショーペンハウアーやニーチェの厭世観と地続きであった。現代に読んでも耳が痛くなるほどの鋭い指摘が多い2020/06/24