内容説明
小説のみならず、俳句・漢詩、さらに『文学論』も含めた、夏目漱石の文学と思想―その全体像を読み解く。デビュー以来書き継いできた諸論考を基に、全作品を読み直し、新たに一貫したモティーフのもと論じ直した、神山漱石論の現時点での集大成。
目次
第1部 生成する漱石(初期漱石の諸相;問題としての「小説」;小説作品の試み)
第2部 深化しゆく小説(作品が秘めている癒す力;『それから』論;『門』論;『行人』論;『こゝろ』論;『道草』論;『明暗』論)
第3部 思想としての漱石(自己追放というモティーフ;三〇分間の死と存在論的転回;索漠たる曠野の方角へ;浮游する虚栄と我執)
第4部 再帰する『文学論』(存在論的転回Fと存在的構えf;運命Fから戦争Fへ)
第5部 詩人漱石の展開 俳句・漢詩(漱石の詩魂;俳句;漢詩)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
OHNO Hiroshi
5
30歳くらいから40年余り漱石を考えれこられた筆者。 手向(てむ)くべき線香もなくて暮れの秋 正岡子規の訃報をロンドンで接した漱石が高浜虚子に送った五句の一つ。 (遠い異国の地に居ては、手向けの線香一つ手にすることができない。そんな所在無い秋の暮れ方であることよ。) 漢詩も作ったし、まれに見る大作家だこと。 胃痛や病のやわらいだ頃に小説を書いたそうだ。 2022/01/14
レイトン
0
仕事で。「こころ」の論で、先生と私は精神的親子。実の父親の死に瀕する描写のみ自然主義的。意識してかというところがおもしろい。2022/08/09
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