内容説明
英文学ゼミの研究室で発生した陵辱事件。ばらまかれる怪文書、謎の猥褻画、めまぐるしい議論の応酬―あの「密室」で、何が本当に起こったのか?恋愛推理の巨匠“最後の未刊長篇”を初書籍化。本文と連動した著者自筆挿画72点完全収録の愛蔵本。
著者等紹介
連城三紀彦[レンジョウミキヒコ]
1948年、愛知県生れ。早稲田大学政治経済学部卒業。映画好きで在学中にシナリオ勉強のためフランスへ留学。1978年、「変調二人羽織」で「幻影城」新人賞受賞。1981年、「戻り川心中」で日本推理作家協会賞受賞。1984年、『宵待草夜情』で吉川英治文学新人賞受賞、同年、『恋文』で直木賞受賞。1987年には得度し、浄土真宗大谷派の僧侶となる。法名は智順。1989年、連載エッセイ「試写室のメロディー」でキネマ旬報読者賞受賞。1996年、『隠れ菊』で柴田錬三郎賞受賞。2013年、胃癌のため死去。2014年に日本ミステリー文学大賞特別賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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しんたろー
150
雑誌に連載された官能ミステリ…『戻り川心中』『恋文』の頃みたいな文学薫る文章ではなく『週刊大衆』に合わせたような平易な文章で、関係者に送られた猥褻画とレイプ事件を主軸に男女7人の愛憎劇を二転三転させながら、真相を探る…著者自筆の挿画を多数配しながら本文と連動して読み手に仕掛けてくる手法が面白かった。性を絡めた「心情の裏」と反転する事実の描写が著者らしい。暗喩が効いた題名や時折ハッとさせられる表現は健在だが、名作の数々を知るファンとしては物足りなく感じたのも正直なところで、連城さん未読の方には勧められない。2019/09/30
竹園和明
43
大学の研究室で起きた凌辱事件を起点に、教授とその妻、学生ら男女7人の推理と思惑が入り乱れるミステリー。美人学生をレイプしたのは誰で、その様子を絵にしてゼミの連中に送りつけたのは誰なのか。学生達による推理は意表を突く連続で著者得意の逆転劇ではあるが、やや飛躍しすぎの感があり、結果的には作りがチープになってしまっているように思った。著者の手による挿絵がイメージを喚起し官能を煽るが、連城作品としては珍しくとっ散らかった印象で惜しい。それにしても七色の虹に掛けた黒世界を巧みに表現したタイトルは秀逸。唸らされた。2019/12/11
rosetta
24
★★☆☆☆年の瀬も押し詰まったこんな時期に詰まらない小説を読んでしまった後悔に襲われるとは。故人の名誉の為にもこんな本を出版しない方が良かったのでは?まあマニアが連城さんをコンプリートする為の本だから3000円なんてこんな強気の値段を付けられるのだろう。だから日本の出版社は信用出来なくて本を買う気にならないのだ!勉強の出来ない中学生が退屈な授業中に教科書の隅に適当に書いたような作者自身による挿絵も嫌い。この本を読んだからと言って今更自分の中で連城三紀彦の評価が変わる訳では無いが、読まない方がよかった…2019/12/29
ふう
21
(本文にはもっとはっきりネタバレ的に書いてあるけど)男女の多角関係を描いた恋愛官能ミステリー風な本作。週刊大衆に連載されたままだからか、かなり間延び&わかりやすいエロ多し。連城の自筆挿画が案外邪魔で、正直安っぽい感じがして全然良くない!見なきゃよかったと思うくらいw 連城初心者には最初にこれは絶対手に取って欲しくないなぁ。連城には素晴らしい作品がたくさんあるのでいよいよ読むもの無くなったらこれに手を伸ばすくらいで十分なはず。2019/10/11
みいやん
11
連城さんが自ら描いた挿絵が煽るような大学教授との不倫をめぐる官能ミステリー。いつもの連城作品らしさが欠けているようでちょっと残念。2019/12/29