内容説明
この国のあらゆる教育と文化の要となる「国語」に今、何が起ころうとしているのか。高校・大学・予備校の現役教師たちが問題点と具体策を総合的に論じる。これからの国語・日本語にたずさわる全ての人のための一冊、緊急出版!「国語改革」問題・関連年表付き。
目次
第1部 現状を分析する(いま「国語」の教育で何が起きているのか;「新しい国語科」は何が問題なのか?―新学習指導要領のイデオロギー;「高ため」のプリンシプルから―「非文学」に抗して)
第2部 新共通テストにおける「国語」をどう見るか(「大学入学共通テスト」をさぐる―記述式問題を中心に;「大学入学共通テスト」現代文の可能性と懸念;「PISA型読解力に結び付く国語教育・文学研究」―新学習指導要領の問題点と新しい「読解力」の構築に向けて)
第3部 思考力・判断力・表現力を身につける(「論理的な文章」って何だろう?―「社会で使える言葉」を再考する;国語の授業で「論理」を学ぶ;「判断力」の危機―学習者の意思決定におけるヒューリスティクス)
第4部 ことばの教育を作り出す(「国語の授業」とは何か;ことばの教育をめぐって―事実・現実への認識を深める教育のために;国語教育と日本語教育)
著者等紹介
紅野謙介[コウノケンスケ]
1956年生まれ。日本大学文理学部(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんえい
5
まとまりのない雑感。 国語教育の求める理想像と現状との乖離について、我々末端の教員があれこれ言ったところで仕方がない。とどのつまり日々の授業実践を突き詰めていくしかない。 新テストを分析し対策を練り「大学入試のための授業」を行う公立校は公教育の理念として相応しくはないと考えているが、そうせざるを得ない現状があるのも事実である。 国語教育と言語教育と日本語教育との違いは何か。 ことばに拘った上で、以下にしてものの見方考え方感じ方を豊かにさせたら良いのか。 間を置いて再読したい。2019/07/30
虎哲
2
研究者・教員・予備校講師と様々な立場からの「大学入学共通テストと新学習指導要領をめぐる12の提言」。大学入学共通テストは厳しいが、新学習指導要領必修科目は面白いのでは?という立場なので「現代の国語」や「言語文化」の有効性と課題に切り込んだ論考が欲しかった(仲島論注2参照)。安易な〈解法〉に負けぬ授業の探究不可欠。推論や論理等に疎いので、仲島・跡上論文は参考になった。五味渕の指摘する「外的な尺度に過度に依拠することも危険」は肝に銘じるべきで、改めて国語教育史に学ぶ必要を感じた。その姿勢が各論の注にも窺えた。2020/01/01
take
2
教育改革(国語)について、大学教授・学校教員・予備校講師など、立場の異なる12人が意見している。清水良典先生の「世の中がそうなっているのだから仕方がない、と醒めた顔でぼやく消極的なニヒリズム」という言葉が刺さった。また、跡上先生の「近似解を探し続ける営み」、駒形先生の「記述式問題への提案(複数文章の共通テーマを20字程度でまとめるetc)」が良いと思った。2019/10/29
しおた
1
卒論に役立てるという目線で読んだ。実用文や論理的を履き違えてる新指導要領への批判は尤もだと思ったけど、じゃあ文学は必要か?それはなぜか?ということに関して意見が三者三様なんだと分かった。他者とか文脈という言葉でよく説明されてるが、ここを整理してハッキリさせたいし、具体的に実践に落とし込むためにはどんな手立てがあるか?っていうことはまだ講じられてない気がする。ここがハッキリ無いから、文科省にも「ほらね、他にやりようがないじゃん?」って思われて納得させられないんじゃないの?そこを具体的に論じる卒論を目指そう。2019/11/02
ozean-schloss
0
2019年時点で既読だが再読。論者12名は共通テストや新課程における行政への警戒心という一点で概ね共通するも、論者らの立ち位置はまばらで、国語における論理推しの論考や外国人向けの日本語教育の視点もあり興味深い。意外にも旧来の文学推し論考はゼロだが、その立場を問題視する文科省側を辛辣に批判する一方、文学推しの国語教師の実態については歯切れの悪い言及が見え隠れする。文科省の動きが性急であるにしてもどうあるべきかの展望も見えない。星2に近い星3。2023/02/05
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