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内容説明
20世紀スペインを代表する情熱の哲学者が現代に甦らせたカインとアベルの物語。魂の闇の臨床記録。本邦初訳。
著者等紹介
デ・ウナムーノ,ミゲル[デウナムーノ,ミゲル] [de Unamuno,Miguel]
1864‐1936。バスク地方ビルバオ生まれのスペインの思想家、作家。1898年の米西戦争以後のスペインを憂慮する“九八年世代”の書き手の一人として、『生の悲劇的感情』に代表される哲学書のほか、ユニークな評論や小説、戯曲、詩作品を数多く著した。現代スペイン思想に大きな足跡を残している
富田広樹[トミタヒロキ]
1978年、北海道生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。学術博士。現在北九州市立大学文学部准教授。専門は十八世紀スペイン文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
121
嫉妬を描いた作品はたくさんある。この作品のストーリーも、斬新なものではなく、今改めて見直して訳が出る意味を考えた。内容に多少反感を覚えたのは、男ふたりを取り巻く女性の描かれ方が添え物に見え、作者の女性への視線にあたたかみを感じられなかったこと。作者は前書きで「イギリス人には偽善が、フランス人には強欲が、スペイン人には嫉妬が与えられた」と書いているが、この前書きの数頁が本文より遥かに濃くて好きだ。2019/09/26
あさうみ
38
才能と名声をもち、人望さらには自分の想い人も手に入れた親友への嫉妬渦巻く苦悩の物語。何度も振り切ろうとするもどす黒い感情に絡めとられていく。巻末の註釈がとても丁寧。純文学は読み慣れてない私も一気読みだった。このシリーズの装丁は本当に良い。2019/07/06
さり
12
ホアキンが欲しいものをアベルはいつも手にする。話の展開を広げる瞬間を設定するのが筆者は上手い。2024/04/09
刳森伸一
4
旧約聖書のカインとアベルの逸話を現代(執筆当時)に移し替えたような嫉妬による黒い炎の物語。登場人物たちがそれぞれの役割を演じているかのようで、いわゆる「生きた人間」という感じはしないが、その鬼気迫る嫉妬の炎には目を見張るものがあり、その凄みに圧倒された。2021/12/10
渡邊利道
3
主体性がないがセンスが良くいつも人に好かれ画家として大成するタイトルロールの男と、それに嫉妬し続ける常に頭が良く医者となる男という幼馴染の複雑に絡み合った人生を、医者の視点で彼の手記を交えながら展開する中編小説。多分作者は真面目にスペイン人的な性格の悲劇という風に構想し寓話的なスタイルを用いて執拗な情熱でもって書いているのはだが、読んでいるとどうしても医者の男の自縄自縛と悪循環の滑稽ぶりが際立って特に結末などはゲラゲラ笑ってしまった。面白かった。2019/09/21
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