内容説明
華麗奔放な文学世界と、反時代的な絢爛たるレトリック―日本幻想文学史に燦然とする『椿實全作品』を改題。さらに幻の私家版『絵画風小景詩』『海邊にて』をはじめ、未発表評論・中井英夫宛書簡など貴重な資料を大幅増補し復刊。
目次
1(メーゾン・ベルビウ地帯;ある霊魂の肖像;泥絵;三日月砂丘;ピュラ綺譚;狂気の季節;人魚紀聞;月光と耳の話―レデゴンダの幻想)
2(死と少女;踊子の出世;短剣と扇;鶴)
3(泣笑;旗亭;苺;黄水仙;浮游生物殺人事件―ある遺書の再録)
附篇(歌集 絵画風小景詩;歌集 海邊にて;評論・随筆・書簡)
著者等紹介
椿實[ツバキミノル]
1925年東京生まれ。47年、東京大学在学中に中井英夫、吉行淳之介らが創刊した第十四次「新思潮」に「メーゾン・ベルビウ地帯」を発表し、三島由紀夫、柴田錬三郎らの激賞を受ける。教員のかたわら小説執筆、神話研究を続け、82年『椿實全作品』を刊行。2002年3月28日、死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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拓也 ◆mOrYeBoQbw
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作品集。既刊の『椿實全作品』を増補・復刊し、一昨年発売された『メーゾン・ベルビウの猫』と合わせると活字化されてる椿實作品を網羅できます。主な作品テーマは都市幻想、戦中戦後の東京、近親相姦、少年少女愛、推理物と多岐に渡りますが、やはり戦後の浅草上野の都市幻想、死、セックスにまつわる作品群が代表的と言え、焼け野原の東京を知らない世代には何処まで創作で何処まで現実か曖昧なのも面白いですね。他にシュニッツラー、リラダンを取り上げた幻想作や短篇の最後を締める推理小説など、幻想文学好きにお勧めに一冊です(・ω・)ノシ2019/04/08
ふゆきち
0
もとより幻想的な作品はもちろんのこと、現実味のある話でもどこか白昼夢を見ているような感覚を覚えました。特に好きなのは『三日月砂丘』や『人魚紀聞』あたり。2021/08/18