内容説明
滅亡した百済から父医師憶仁とともに逃れてきた4歳の憶良は、倭国で自ら学び、42歳で遅咲きの無位の遣唐使少録に抜擢された。帰国後はのちに従五位下まで進み国司になる。伯耆守のあと、67歳で筑前守として筑紫へ下向すると運命的な出会いが待っていた。3年前に観世音寺別当として下っていた沙弥満誓と、翌年下ってきた太宰帥・大伴旅人である。朝廷の骨肉の争い、律令国家への激しい動き、藤原氏の台頭の中で、筑紫では旅人、憶良、満誓の友情がはぐくまれ、後まで残る歌の花が咲いた。世に外れた万葉二大歌人のめぐり逢い、歌がその哀しみを慰めた。大宰府を舞台に、氏家柄を超えた交わりを追う、古代歴史小説。
著者等紹介
吉森康夫[ヨシモリヤスオ]
1934(昭和9)福岡市生まれ。國學院大学中退、東京学芸大学卒業。民主文学の会に参加の後、増岡敏和の「原爆と文学」に加わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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