内容説明
「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」「ムー一族」―。歌謡曲を劇中に導入するなど昭和を代表する斬新な作品を多数演出した久世光彦。「歌好きだからどうにもならない」とは盟友・阿久悠に明かした言葉。時代の記憶はいつも歌とともにあり、歌抜きの人生はあり得ないのだ。末期に聴きたい一曲を探求する名エッセイストでもあった。その久世が残した“歌”にまつわる珠玉の随想群をここに集成。
目次
1(阿久悠の向うに海が見える;時代;不良の時代 ほか)
2(幻の声・亡びの唄;夢ん中;詩人の魂 ほか)
特別附録(インタビュー 久世光彦;対談 阿久悠×久世光彦;鼎談 小林亜星×阿久悠×久世光彦)
著者等紹介
久世光彦[クゼテルヒコ]
1935年東京生まれ。東京大学文学部美学科卒業後、ラジオ東京(現TBS)入社、演出家・プロデューサーとして「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」「ムー一族」など数多くのテレビドラマを手がけた。79年退社後、カノックスを設立。92年「女正月」他の演出で芸術選奨文部大臣賞を受賞。また五十歳を過ぎての作家活動でも93年『蝶とヒットラー』でドゥマゴ文学賞、94年『一九三四年冬―乱歩』で山本周五郎賞、97年『聖なる春』で芸術選奨文部大臣賞、2001年『蕭々館日録』で泉鏡花賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nonpono
43
本屋で本を買う。柳美里の本屋さんなんだが。私も本は買いたいがわたしの本棚はもう入らない。古本屋に売りに行きわたしの分身のような本が二束三文になるのはもう嫌、だから最近はメルカリ。わたしの本が誰かの読みたかった本になるなら喜んで手放すよ。だけど売れない。途中でやめた育毛剤の方が飛ぶように売れる現実よ。だから図書館ユーザーです。図書館にない久世さんの本。美しい耽美な日本語に包まれて。久世さんから知った歌の多さよ。わたしも書評を書きながら泣くがそれ以上に泣く久世さんの文章を愛す。歌を歌いにいきたくなる本です。2024/11/04
hideiz
2
CSで放送していた「寺内貫太郎」をはじめて見て、こんなに面白かったのかと驚いた。でこの本。久世光彦と阿久悠、小林亜星の鼎談が入っている。流行歌という言葉がまだあった頃のあれこれ。他の本も読んでみたくなった。2018/05/04
エリザベス
2
「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」「ムー一族」―。昭和を代表する斬新な作品を多数演出した久世光彦。彼の「歌詞」に対する思いをつづった一冊。2016/10/29
どん
2
久世光彦さんのエッセイ集。戦前戦後からの昭和の唄、歌謡曲がどんな時代背景を反映したものかを著者の人生に照らして語られている。唄と歌、りんご・リンゴ・林檎のちがいなど、曲名にこめる想いなど、あまり気にしていなかったことが、なるほどと腑に落ちる。奥深い味のある話が続く。 阿久悠さんとの対談は楽しい。2016/07/16
もひ
1
里わのわの謎がついに解明された。2020/01/15