内容説明
ほのぼのとした筆致の中に浮かび上がる人生の哀歓。週刊誌、新聞、大衆向け娯楽雑誌などに発表された短篇を新発掘。ユーモアとペーソスに満ちた未刊行小説集。昭和を代表する私小説家の、意外な一面も垣間見える短篇を多数収録。
著者等紹介
木山捷平[キヤマショウヘイ]
小説家、詩人。明治37年3月26日、岡山県小田郡新山村(現笠岡市)に生まれる。旧制中学時代より詩歌を「文章倶楽部」などの雑誌に投稿、ガリ版刷りの同人誌も発行する。姫路師範学校を卒業後、兵庫県の小学校で教職に就くが、大正14年、文学への志を捨てきれずに上京し、昭和4年に初の詩集『野』を自費出版。8年、同人誌「海豹」参加を機に小説を書きはじめ、「抑制の日」「河骨」が芥川賞の候補となる。19年の暮、職を得て満洲の新京(現長春)に渡り、敗戦間際に応召、特攻部隊に配属されて九死に一生を得る。43年8月23日、食道癌のため死去。享年64(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蔦屋重三郎そっくりおじさん・寺
59
木山捷平の未刊行小説集。週刊文春や週刊漫画TIMESに連載したものが中心。月並みな言い方だが「肩の凝らない軽読物」というのが適当な作品集。しかし尻切れトンボで終わっている感じは否めない。コントと言われるショートショートも掲載されているが、木山捷平の短編が好きな私としては、短編の頭ぐらいで止めた感じに思え、不完全燃焼の感は否めない。やたら否めないのであるが、第3章に入ると短編があり、やはり面白い。短編小説ぐらいの長さが木山捷平の1番力を奮えるサイズなのだと思う。ただ、性へのおおらかさはさすが木山捷平である。2019/08/28
軍縮地球市民shinshin
13
枕頭の書として読了。木山捷平の単行本未収録小説集。やはり、というべきか全集や単行本に収録されなかっただけの作品なので、正直質はさほど高くない。だが深夜に寝床に入って読むぴったりの本だ。昭和30年代に発表されたものが中心だが、当時は温泉は混浴が一般的だったのだなとか、いとも簡単に浮気ができたのだな(笑)と思った。夜這いの話もあるが、これはフィクションだろう。結末がホラーだ。2020/02/04
こまっちゃん
5
ちょっと昔まで日本はなんと暢気だったのだろう。男女は平気で混浴するし、個人情報保護や人権問題のへったくれもない。大らかな国だったのだなと羨ましくなる。2018/06/28
7kichi
3
全体にほんのりと色気のある作品が多い一冊だ。少しずつ楽しみながら読もうと努力したのだが、気がつけば一気読みしていた。2016/01/30
そうび
1
未刊行小説集。尾籠な話が多すぎて、なんだかなぁ、という感じ。どこかとぼけた言い回しは味わい深いんだけどね。発掘しても珠玉ではないというのは良くあることか。2021/11/06
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