内容説明
私の好きな場所…監獄と軍隊を除けば何処でも好きです。酒を愛し、日常の些事を慈しみながら、文学に生涯を捧げた私小説家の未刊行随筆89篇を初集成。
目次
昼酒
酒の失敗
たもと
基本的飲権
酒の上の失敗
酒のめば楽し
新関脇の弁
もし、この世に酒なかりせば
よその奥さん
老眼の話〔ほか〕
著者等紹介
木山捷平[キヤマショウヘイ]
小説家、詩人。明治37年3月26日、岡山県小田郡新山村(現笠岡市)に生まれる。旧制中学時代より詩歌を「文章倶楽部」などの雑誌に投稿、ガリ版刷りの同人誌も発行する。姫路師範学校を卒業後、兵庫県の小学校で教職に就くが、大正14年、文学への志を捨てきれずに上京し、昭和4年に初の詩集『野』を自費出版。8年、同人誌「海豹」参加を機に小説を書きはじめ、「抑制の日」「河骨」が芥川賞の候補となる。19年の暮、職を得て満洲の新京(現長春)に渡り、敗戦間際に応召、特攻部隊に配属されて九死に一生を得る。43年8月23日、食道癌のため死去。享年64(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蔦屋重三郎そっくりおじさん・寺
62
これは面白い!のっけからお薦めする。古本好きの文学通みたいな人がよく木山捷平を褒めているので何か1冊読んでみたくなり、坂口安吾の思い出が載っている本書を選んだ。単行本初収録のものばかりのエッセイ集だそうだ。ジワるフレーズが多く、時には吹き出して声をあげて笑った。内容も、酔った昭和天皇が刀を抜いて褌一丁で東條英機を追い回したり、鍋にウンコしたり、金玉を洗ってもらった思い出だったり、戦時中の満州で「戦車下敷き特攻隊」に入れられたり等々のエピソードが絶妙なギャグセンスで綴られている。私もファンになった。2019/08/04
くみ
17
堀江敏幸さんの本で知った作家さん。たっぷりとしたエッセイ集です。前半は奥さんとの話が多く、ビールが冷え過ぎだから胸であっためてくれとか、ちょっと艶かしい。他の女性関係も創作のようなつややかさ。これはフィクションでしょ(裏表紙を見る)絶対そうだよ!軽い調子で楽しむ前半から後半は従軍当時の話へ。「(高官の家族を逃す時間を作るため)列車に飛び込んで殉死する」任務の練習をしたエピソードはその理不尽さにこちらも震えるようだった。これだけライトに語れるようになるまでどれだけ乗り越えてきたのだろうか。2018/08/03
軍縮地球市民shinshin
11
木山捷平の単行本未収録随筆集。新聞や雑誌に短い文章を寄せたものを集めている。やはり昭和30年代はおおらかな性だったのだなぁというのと、木山は満洲でソ連軍戦車に特攻して下敷きになることを強要されたので、反戦の考えが強いのだなぁと感じた。文章が短いとそれがストレートに現れている。戦後『肉体の門』でベストセラー作家になった田村泰次郎が近所の豪邸に住んでいて、自分がその近くだと田村に言い出せなかった話とか面白かった。今や田村泰次郎も『肉体の門』も新刊書店では読めなくなっている。2020/02/13
私的古本レヴュウ
6
未発表随筆集。まだ木山捷平をよくは知らない僕もあれやこれやのテーマで楽しめた。岡崎さん曰く「苦難の多い人生」だったが、そういう苦しみは(戦争の経験以外は)みじんも感じさせず、朗らかに書き綴る木山さんを僕は大好きになった。また木山作品を読もう。2019/11/24
風花 kazahana
3
図書館ぶらぶらでタイトルと一頁目の出だしを軽く読んで選んだ一冊。全く知らない作家の随筆でしたが なかなか読みごたえがありました。作品数も多かったです。戦争体験もさらっと軽いタッチでかかれていますが もちろん死を意識もしたはずだと思います。戦争の理不尽さ 国のずるさを怖いと思いました。天皇についてかかれたものは今言論が自由なときでもいいのかな?と思ったりして ユーモアの中になかなか辛辣さも込めてあるなぁと思いました。一人の作家の人生を覗き見させてもらったようです。2019/12/15
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