内容説明
「わたし、あなたの墓には入りませんから」収入の乏しい作家の夫。病院勤めを定年退職した妻。「いちばん身近な他人」として共に老いてゆく夫婦の日常を、名手の筆がユーモラスかつスリリングに描き出す。渾身のライフワーク連作短篇集。
著者等紹介
飯田章[イイダアキラ]
1935年東京生まれ。作家。早稲田大学第二政治経済学部卒業。74年「迪子とその夫」で第十七回群像新人文学賞受賞。87年「あしたの熱に身もほそり」で第九十七回芥川賞候補(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yoyogi kazuo
1
2015年発刊の短編集。老年期の夫婦、それも妻を畏怖しながら暮らす夫の日常がユーモア交じりの落ち着いた筆致で描かれる。佳作。八十歳を超えても筆者の文章は若々しい。2021/05/24
だけど松本
1
読んでると登場人物たちの生きてる様子が自分の中に入り込んではくるのだが、なぜこんなにも妻が夫に冷たくなったのかがわからない。主人公の一人称でしか書かれてないので、熟年離婚されてしまう爺さんの心境ってこんな感じなのかなあ、思い当たることとかないのかなあとぼんやり思うしかなく、妻の気持ちが全然わからなかったのは残念。でも純文学って書いてある内容はずっしりしてるのにもやもや~~~~~としたまま突然終わるってパターン、王道だからしょうがないか、とあきらめる。2015/11/13