内容説明
時の帳に包まれた、とあるアラブの王国。親に売られた9歳の少女・トドラは、奴隷市場で3歳の少女・サムと出会う。自由を求め辿り着いた砂漠で成長する二人に、離別は突然訪れた。純水の如き心を持つ二人の互いを求め合う物語が今、ここに幕を開ける。制作期間7年。緻密なアラビア模様の手跡が、視線を迷宮へと誘う。「純愛とエロス」をテーマに描く、エキゾチック・ラブ・アドベンチャー。
目次
河川地図
暗黒の帳
楽園剥奪
蜃気楼
著者等紹介
トンプソン,クレイグ[トンプソン,クレイグ][Thompson,Craig]
1975年、アメリカ合衆国ミシガン州トラバース・シティー生まれ。ウィスコンシンの郊外で育つ。「GOOD‐BYE,CHUNKY RICE(1999年)」「BLANKETS(2003年)」そして「CARNET DE VOYAGE(2004年)」は多数の賞を受賞し賞賛を得ると同時に、約20カ国語に翻訳される。現在オレゴン州ポートランドに約15年在住している
風間賢二[カザマケンジ]
翻訳家・評論家。「ホラー小説大全」(角川書店/1997年)で第51回日本推理作家協会賞評論部門を受賞。評論活動のほかに、主として現代英米小説を翻訳(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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allite510@Lamb & Wool
2
イスラム文様にアラビア書道、そして数秘術。イスラム文化の美味しいところ総取りで、ったくアメリカ人てのはよお、と、若干思わなくもない。もう少し文化的に深いところまで突っ込んでもいいんじゃないか、とも。しかし逃亡奴隷として性的に搾取される様もしっかり描かれつつ、<砂漠の幻影高級娼婦>として魔女的な力を発揮し始めるヒロイン像はなかなか魅力的ではある。うーん、続きどうしようかな。2017/07/26
manatee
1
アラビアンナイトがベースにある現代の物語かと思っていたけれど、少し違うようだ。アラビア文化圏やアラビア文字を絵本に落とし込んで物語のが進んでいく。ハーレムの世界や階級社会がある世界で、主人公が勉学に励み自分の力でどうにかしていこうとする姿はアラジンなどにも通じる。既に敷かれたレールから外れるためにもがき苦しむ女性の姿は今の時代にも通じるものがある。2020/11/20
骨付きタロー
1
濃厚な神秘と魔術と幻想に満ちたアラビア世界のイメージの奔流に目がくらむ。これはそんな世界で利用され続け、地を這い続ける女性のラブストーリー。コミックでしか出来ないであろう読書体験にぶん殴られた。2巻に期待。2012/06/19
no6
0
アメコミなんて読む習慣はまったくないんですが。 これはすごい、本の中に溢れるアラビア文字の洪水。物語の申し子のような主人公ドドラは、物語の力で人も救うし、自分の身も助け、そして死の淵からも物語ることによって戻ってくる。 遠い昔の話だと思って読んでいたのに、いつの間にか町には高層ビルが建ち、砂漠は砂の海ではなくゴミの海になっていたり。 アメコミらしくこれでもかとばかりに出てくるエロシーンにはちょっと参るけれども、文字の洪水のようなこの本は一見の価値有りです。2014/10/09
bb
0
ひとつの書法をマスターするのに十数年かかるというけど、この人の字は正統に上手いのかどうかわからない。でもイスラム書道に飢えていた身としては眺めるだけで干天の慈雨。2013/01/20