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出版社内容情報
『潜熱』の野田彩子が描く、天才役者とその代役。
鴨島友仁(かもしまゆうじん)と宝田多家良(たからだたから)は同じ劇団に所属している俳優仲間。
安アパートに隣同士で住み、共同生活をしている。
お互い無名ではあるものの、友仁は多家良の類まれな演技力を見抜き、その才能を世に知らしめるために彼を支えている。
自身も「世界一の役者になりたい」という想いを抱えながら。
やがて周囲は少しずつ、多家良の才能を見出していくが───。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
90
天才と、天才を世に出そうとする人物。深い信頼がある二人。しかし、天才をサポートする側も同業で渇望がある場合、ヒリヒリする葛藤がある。役者として天賦の才を持つ宝田多家良。彼はまだ世に出ず劇団で芝居をしている。多家良の才能に気付いた鴨島友仁は自身も役者だが、多家良のマネジメント役もする。共に台本を読み、役について考察し、生活のケアもする。部屋は違うが同じアパートに住む二人。多家良は芸能事務所にスカウトされる。勝手が違うテレビの現場も、友仁との電話で乗り切る。物語の持つ危うさ。これが野田彩子さんの真骨頂だろう。2020/06/20
ハイポ
39
■1~4巻■多家良は月の役者。多家良が月の表側なら友仁は月の裏側。友仁には多家良のような魅力はないが、友仁が多家良の魅力の源泉となっており、2人を引き剥がすことはできない。多家良は微妙な重力と妖しい光で周囲の人を惑わせる。多家良を巡る友仁と愛姫の関係も狂気が滲む(lunatic)。多家良の危うさはカタストロフィを導きそうな怖さがある。■孫(太陽に対して、地球が子、月が孫)、トリックスター(日本で月の模様とされる兎は、トリックスターの典型)など、多家良に与えられる比喩が月と結びつけられるのは偶然だろうか?2022/12/10
トラシショウ。
34
「役者と言う生き物は・一人では生きていかれない・一緒に生きていく事も出来ない」。積読消化。安アパートで共同生活をする役者の卵の宝田多家良と鴨島友仁、30歳。生活面が絶望的な代わりに役者としては天才の多家良を支え、時に稽古でその代役も務める友仁の奇妙な二人暮しに、芸能事務所の冷田が多家良のスカウトに来た事から変化が生じ始める。メタフィクションの怪作「わたしの宇宙」以来、作者の本を手に取る。「天才とどう付き合っていくか」と言う物語の一つであり、演劇、と言うか役者にまつわる主題の作品、かな(以下コメ欄に余談)。2020/04/08
ぐうぐう
27
野田彩子の新作は、天才役者とその代役の物語。そう説明されて読み始めると、心地良く裏切られる。確かに鴨島友仁は、天才役者・宝田多家良の代役を務めている。しかし多家良にとって友仁は、代役以上の存在だ。マネージャーのようにサポートし、演技プランをリードする。役者とは、いかに演じることに納得できるか、を大事とする。多家良における友仁は、その納得の根源なのだ。そのとき友仁は、役者・多家良の人格そのものとなる。はて、そうなると、代役と呼ぶにふさわしいのはどちらになるのか。面白い!2019/07/08
akihiko810/アカウント移行中
22
宝田多家良と鴨島友仁は二人三脚で劇団の役者をしている。宝田の才能に惚れた友仁が役者以外のマネージメントなどの世話を焼いている。宝田はその才能から事務所にスカウトされ… こういうのを「ブロマンス」というのだろうか。天然で天才の宝田を、サポートする友仁。はたして二人の関係性はどう変わっていくのか。面白かった2021/11/08