内容説明
国境論争の対象とされることで、住民という存在がかき消されてきた千島列島。島々とこの一帯の海域では、どのような人々が生活してきたのか。袋小路に陥った領土論争に新たな視角をひらく。
目次
第1章 千島の先住民(国境のない千島;ロシア人のクリル進入;日本人の千島進入 ほか)
第2章 千島の日本人(北千島の魂入れ;報效義会の第一次北千島移住;報效義会の第二次北千島移住 ほか)
第3章 千島のロシア人(千島のソビエト化;クリルの植民者と北方特典;噴火、地震、津波 ほか)
著者等紹介
黒岩幸子[クロイワユキコ]
1957年、佐賀市生まれ。慶応義塾大学文学部哲学科卒、早稲田大学大学院文学部文学研究科修士課程修了。日本航空モスクワ支店、ロシア語通訳・翻訳業を経て1998年より岩手県立大学総合政策学部助手。同大学講師、助教授、准教授を経て現在は共通教育センター教授。1992~1998年に通訳者として北方領土ビザなし交流に毎年参加(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ごー
2
千島列島の歴史概説。穏やかに暮らしているところへよそから人がやってきて、とれたものを寄越せとか、俺たちのために働け、俺たちのためによそへ行って働けとか言われる。こんな理不尽なことはないが、これが人間の歴史。ラッコかわいいのに、乱獲されてかわいそう(もちろん他の動物もかわいそう)、たぶん先住民だけで暮らしていた頃は、必要な分しかとっていなかったのだろうと思う。2017/12/20
コカブ
1
千島の歴史を軽く解説した本。まず、日本の進出前のアイヌが居住した時代から、北千島にはロシアが進出した様子、南千島には松前藩の勢力が進出した様子が描かれる。北千島ではロシア正教に帰依した。そして日本領時代の様子が描かれる。北千島には千島報效義会が開拓に挑むも失敗した(彼らは日露戦争時にカムチャツカに上陸したらしい)。その後は北洋漁業の基地となった。南千島は北海道に近いので繁栄したが、多くは出稼ぎ労働者だった。第二次世界大戦後にはソ連政府が移住報奨金を出して居住者を集めたが、ソ連崩壊後は状況が変わっている。2014/04/08
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