出版社内容情報
パリのバス停で突然、個人の不在を体験した著者
無我を体験する前の人生とその後のマインドの恐怖感への取り組みと解放を綴る。
自己が抜け落ち、空(くう)が目覚める
体験する自己はいなかった
広大さが自らを経験する
目撃者が消えれば大きな重荷が取り除かれるだろうと思われるかもしれませんが、実際はその逆でした。目撃者の消滅は、個人のアイデンティティの経験の最後の痕跡が消えることを意味していました。少なくとも目撃者は、「私」のための居場所を彼方とは言えども保持していました。ところが目撃者が消滅したために、「私」の経験も文字通り一つ残らず消え失せてしまったのです。個人のアイデンティティの経験が失われ、二度と戻ってきませんでした。
個としての自分が消えたのに、中には誰もいない肉体とマインドがまだ存在しているのです。個人のアイデンティティが不在の状態、すなわち「私」「自分」という誰かとしての経験が不在の状態で生活するのは言葉で説明できないほど難しいものでしたが、その生活は疑いようもなく継続していました。
調子の悪い日やインフルエンザで寝込んだ日、動転した時、茫然自失した時などとは別物です。個としての自分が消えると、自分として居場所を特定できる人もいなくなります。肉体は外観でしかなくなり、その内側いっぱいに存在するように感じられていたものすべてが空になりました。
「『あなたは誰?』って訊かれたら、『私はもちろん私だ』って答えるわよね。だけど、もうその『私』が見つけられないの。誰もいないから……」
「『もう私がいない』ってどういう意味だい? 君はここにいるじゃないか。僕の目の前で、僕に話しかけているだろう」と、彼は言いました。「でも私はもう『自分』を経験していないの」と、私は声を上げて答えました。
「どうして『自分』がいないのに、以前と同じように日常生活が送られているのかしら。話したり、歩いたり、眠ったり、泣いたり、笑ったりしているのに、それをしている『私』がいないのよ」
人生のあらゆる事柄は、所在を決して特定できない見えざる行為者が行っているということです。行為を行っていた「私」という以前の感覚はまったくの幻想でした。個としての「私」は行為者ではなかったのです
恐怖心の縛りが解け、一挙に喜びが湧き出てきました。空の経験が、とうとうその秘密を明かしたのです。空は、万物の実体そのものにすぎないのだと明かされました。ようやく私は、ずっと目の前にあったのに恐怖心によって覆い隠されていたそれを理解しました。個としての自己が存在しないだけではなく、他の誰も存在しなかったのです。自己も、他人も存在しません。すべてが、同じ広大さの実体によって創られているからです。
内容説明
パリのバス停で突然、個人の不在を体験した著者。無我を体験する前の人生とその後のマインドの恐怖感への取り組みと解放を綴る。
目次
イントロダクション
第1章 幼少期から青年期
第2章 超越フィールド
第3章 空への序章
第4章 空との衝突
第5章 空を黙殺する
第6章 空を分析する
第7章 空を広大さとして認識する
第8章 空の秘密
第9章 広大さを生きる
エピローグ 広大さとの会話
著者等紹介
シガール,スザンヌ[シガール,スザンヌ] [Segal,Suzanne]
1955年、アメリカ生まれ。大学生の頃にTM瞑想にはまるがその組織に疑問を持ち辞め、フランス人と結婚後の1982年にパリのバス停で突然、自己が抜け落ちる覚醒体験をする。その体験にとまどい10年間何人もの心理セラピストの元に通うが解決せず、非二元の教師たちに会うことにより、ようやく納得がいき、恐れから解放された。その後、執筆やミーティングを行い、ティーチャーとしても活躍した。1997年に他界
采尾英理[ウネオエリ]
同志社大学文学部卒業。スピリチュアル系の訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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