目次
序章 ヤングケアラーの四六年
第1章 中学時代
第2章 暗中模索
第3章 医師との邂逅
第4章 シマ豆腐をめぐる長い旅
第5章 母の親離れ
第6章 有機野菜とラベリング
第7章 父の思い
第8章 従姉の自死
第9章 偏見と支えと
第10章 狂気の意味するもの
終章 こころの色、こころの形
著者等紹介
林真司[ハヤシシンジ]
ノンフィクション作家。1962年大阪生まれ。龍谷大学大学院経済学研究科修士課程修了(民際学研究コース)。有機野菜などを扱う食料品店を経営後、1999年に同大学院に入り、「民際学」の提唱者中村尚司氏や田中宏氏に師事する。同時に、シマ豆腐の調査を開始し、その成果をまとめた『「沖縄シマ豆腐」物語』(潮出版社)で、2013年第一回「潮アジア・太平洋ノンフィクション賞」を受賞。食べ物を通して、人間の移動や交流について考察を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ほう
35
1962年生まれの著者が小学校6年生の頃から、精神を病む母の世話や介護、面倒をみてきた一冊である。ヤングケアラーの問題は今に始まったことではなく、ずっと以前から存在していてフォーカスされないまま今日に至っているに過ぎないと思う。子どもが子どもらしい時代を過ごせないことに心が痛む。2022/06/17
まさや
7
積極的に話したいことでもないので、孤立してしまいがちです。 利用できる資源がもっと開示されるといいですね。 追記:ひろゆき氏ががんの話題のときに話す丸山ワクチンがでてきます。2022/02/17
よしじ乃輔
7
家族の介護や身の回りの世話を18歳未満の子供たちが担う事を意味する言葉「ヤングケアラー」。著者は46年前から統合失調症の母を世話をし、どう思ってきたのかを綴った半生記です。精神疾患である場合、自分からは周りに打ち明けにくい、と語る著者の言葉にハッとしました。ヤングケアラーへの社会的な整備が早く調うよう願ってやみません。ページ数は多くないけれど中身の非常に濃いものでした。2022/02/24
はね
5
タイトルから想像したのとまったく違っていた。ご本人は辛かったろうとお察しするが、一般に広く読ませる内容ではないと思った。2022/03/10
emtb
3
小学6年生の頃から統合失調症の母の世話をしてきた著者。何度も入退院を繰り返し、良くなったと思えば酷くなり、先が見えない状態で、勉強どころではなかった。高校2年の時に父は癌で亡くなる。学生時代に自分が楽しむことより母の病気を治すことを優先。心理学の先生に話を聞きに行ったり、遠い病院まで連れて行ったり、なかなかできることではない。母の病の原因であっただろう祖母に対しても世話をしてくれた感謝を忘れない。つらく悲しい思い出も自分の礎だと思えるまでどれだけの葛藤があったのか。今は落ち着いて穏やかに過ごしているそう。2022/06/25