内容説明
私たちが生きるこの地球の「地質年代」はいま、1万年以上続いた「完新世」に次いで、「人新世」という新たな段階に突入している。そして文明が生み出したこの「人新世」によって、いまや私たち自身がつくり変えられようとしている―。欧米の歴史教科書に追加されつつある「人新世問題」をめぐる衝撃の書!
目次
プロローグ―私たちの身体に異変が起きている
第1部 紀元前八〇〇万年~紀元前三万年
第2部 紀元前三万年~西暦一七〇〇年
第3部 西暦一七〇〇年~西暦一九一〇年
第4部 西暦一九一〇年~現在
第5部 未来
著者等紹介
クリガン=リード,ヴァイバー[クリガンリード,ヴァイバー] [Cregan‐Reid,Vybarr]
英ケント大学准教授。専門は環境人文学と19世紀英文学だが、扱うテーマは人類史、古典文学、健康、環境問題まで幅広い。ケント大学の名物教授として学生に絶大な人気をほこり、2015年には同大の「ベスト・ティーチャー賞」を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
55
「人新世」という言葉を、少し前から眼にするようになって、何となく気になっていた。そこで、出会った1冊。現在の人間というものの成り立ちが、いかにしてあるのかが、身近なところに視点を置いて述べられている。身体的な要素、精神的な要素、能力的な要素が織物のように綴られていて、読み進めるに従い馴染んでくるよう。人間の活動と、環境との関係性はどうなのか。それを踏まえて、改めて考えると、必ずしもいい状況ではない。食と食の生産・加工、身体の活動。想像以上に、危機的な様相を呈している。とはいえ、やはり基本は歩くことから。2020/12/26
アキ
46
今後正式に認められる「人新世」において、農耕・牧畜が主の農業革命と18世紀の産業革命で生まれたライフスタイルの変化が現代病の元凶。長い時間座り続けることが腰痛をはじめ多くの病の原因となることは、未だよく認識されていない事実。現代人には運動が足りないが、運動をしても座り続けることで効果が相殺される。これからトレッドミルで歩きながらの読書が推奨されるかも。古代ローマや古代ギリシャでは余暇が生まれ運動に精を出した。キケロ「胆力を養って知を磨くのに役立つのは運動のみである」各章の終わりにまとめがあり役に立つ良書 2019/03/22
HMax
35
サピエンス全史とは無関係?文明化される前の初期人類は、ブラック企業がないおかげで1日の労働時間は約6時間ぐらい、椅子はないけどヤンキー座りで休憩。(このイラストには笑いました。)それにしても、私の生活、エピローグにあるアベレージ・ジョーよりも悪い。歯並び悪く近視で花粉アレルギーに高コレステロール、人新世のど真ん中。30分に1回は立って歩き、1日1万2千歩をめざそう。1日6時間以上座っている女性は3時間未満の女性に比べ、調査期間中に亡くなるリスクが94%高かった。備考:読みづらい、翻訳のせいかどうか。2019/10/12
ボル
24
サピエンス異変。ツリじゃないの?と当初思っていたが、とんでもない!二足歩行が出来た⇒手が好きなように使えるようになった⇒コミュニケーションとして手を使ったり火を使えるようになった⇒言語が生まれた⇒持続的に移動することが可能になったなどなど進化に貢献したのは、手が使えるようになったからと。そして現在は椅子に長時間座ることで腰痛が増加した。それを予防するにはとにかく体を・筋肉を動かすことなどが学術的に述べられています。その他各章、ポイントとしてまとめてあることがすんなり頭に入ってきます。間違いなく良書です。2020/01/13
yyrn
19
一番新しい地質年代だった「完新世」はすでに終わり、人類が地球環境に深刻な影響を与えだした時代「人新世」が始まったという説が大勢になりつつあるという。人類は地球にとってガンなのか?あまりにも急激に進む社会の変化が、皮肉にも人間の身体に様々な不具合を生じさせているというのが、この本の主題。糖尿病と腰痛が二大リスクだと言い、高カロリーの食事と座りっぱなしの現代人の生活習慣が原因だと指摘する。二酸化炭素濃度が上がったせいで野菜の栄養価が下がったとか色々言うが、要は継続的に身体を動かし、肥満になるなといっている本。2019/03/17