内容説明
自民党支持の大衆に敗れた知識人“最後の砦”。反安保、反資本主義、反近代…言論を覆う感情論は「いつか来た道」。「反米にあらずんば知性に非ず」の戦後幻想。
目次
第1章 「なんリベ」とは何か?九条護憲派と天皇制支持の“野合”
第2章 エドワード・サイデンステッカーと日本
第3章 ペリー来航は「強姦」か?
第4章 反米左翼の幻想
第5章 江藤淳の隠見する反米
第6章 アメリカ文化とは何か
第7章 私の北米体験
第8章 西部邁 偽装転向の社会主義者
第9章 それでも反米を煽る人々
第10章 集団主義的思考の優位
著者等紹介
小谷野敦[コヤノアツシ]
1962年茨城県生まれ。東京大学文学部英文科卒。同大学院比較文学比較文化専攻博士課程修了、学術博士。1990‐92年、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学に留学、大阪大学助教授、東大非常勤講師などを経て、作家、比較文学者。著書に『聖母のいない国』(青土社、サントリー学芸賞受賞、その後河出文庫)、『母子寮前』(文藝春秋、芥川賞候補)、『ヌエのいた家』(文藝春秋、芥川賞候補)など多数がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ニッポンの社長ケツそっくりおじさん・寺
63
面白かった。確かに以前から反米は盛んだ。私もハッキリとアメリカ嫌いだった時期がある(私が広島県民というのもあるが)。しかし戦後に日本を支配したのがアメリカだったから良かった側面は否めない。思えば故郷への思いだって愛憎半ばしたりするのだ。いわんや他国をや。私は9条護憲だが、じゃあ攻撃されたらどうするか?という問いには答えられない。主義主張というよりも願いであるからだ。うーむ。あれこれ考える本だ。もっと勉強せねば。2017/04/25
佐島楓
47
先日亡くなった西部氏のところに興味が持てた。2018/04/12
ふみあき
31
書名にもなっている「なんとなく、リベラル」とは、憲法9条をはじめリベラルな価値を称揚しながら、人間を門地によって差別する明らかな身分制である天皇制には好意的、肯定的な人種のこと。具体名を挙げると内田樹、島田雅彦、田中優子のような連中で、彼らの欺瞞を叩き切る、みたいな感じ。確かにリベラルは堕落してるのか、令和の代替わりの時、天皇制の存在を積極的に疑問視するような意見は、左派的なメディアでもあまり聞かなかった気がする。リベラルではないが、反米を標榜する江藤淳、西部邁なども丸々1章を使って批判されている。2022/08/06
モリータ
17
◆梅田丸善ジュンクで2時間ほど座り読み。◆著名人·一般人問わず「乱暴なものの言い方」が目について嫌になっていたのだが、なぜ口の悪い小谷野敦はいいのかというと、①知識量の裏づけがある(調べるべきことは調べている)、②議論を拒んでいない、③個人や集団に対して品のない罵倒的呼称を使わない、という三点を信頼しているから。③は「なんリベ」はどうなのか、と言いたくなるかもしれないが、「アベ」「ブサヨ」「ハシシタ」のようなセンスのない蔑称を「いつまでも」使い続けるある知的に愚劣な層の下品さとは遠いところにあるだろう。2016/07/12
軍縮地球市民shinshin
12
かつての左翼が衰退し、今の左翼はファッションとしての「サヨク」な論者しかいないと感じていたが、本書ではそれが「なんりべ」の名付け親である著者によって十二分に指摘されている。西部邁、江藤淳批判が目立つが(一章を割いている)、中島岳志や最近売り出し中の白井聡批判もやっていて面白い。中川八洋が西部批判をやらないという点にも若干言及されていたが、西尾とか福田にはあんなに噛み付いているのに西部の「に」も著作では言及されていない。白井聡とか與那覇潤とか同世代ながらどうしてああ「変」になるのか。2016/04/30