出版社内容情報
どこまでも前向きなゲーテの言葉と、どこまでも後ろ向きなカフカの言葉。今のあなたには、どちらのほうが心に響くでしょう?
対話01 前向き × 後ろ向き
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
122
「厚い雲、たちこめる霧、激しい雨の中から、希望はわれわれを救い出す」(ゲーテ)「こうして救い手は、救うことなく去って行く」(カフカ)。このような対比が解説付きで次々にくるのが大変面白かったのだが、次第にあきてしまった。途中から対比させる文章に無理があったり、何よりゲーテの言うことがまともだからだ。ゲーテの言葉だけ読んでみると、ごもっともだが、当たり前すぎる。カフカのありえない悲観的文章の破壊力が、並べるのは凄過ぎるのだ。どうせ読むなら、「絶望名人カフカの人生論」が新潮から文庫で出ているのでおすすめ。2016/07/16
おいしゃん
80
オススメされて。これはアイデア勝ちな本。突き抜けるほど明るく、胡散臭さを通り越して逆に励まされるゲーテの言葉と、どうしたらここまでネガティヴに考えられるのかと感心してしまうようなカフカの言葉。これを見開きで並べ、解説もつけてひたすら対比してゆく。両者への愛のこもった解説も含め、ゲーテとカフカの人となりがよくわかる一冊。2015/11/17
星落秋風五丈原
67
「晩に、わたしは千匹のハエをたたき殺した。それなのに早朝、一匹のハエに起こされた。」ちなみにこれは比喩である。実際にゲーテが蠅殺しフェチだったわけではない。 で、一方カフカはぶんぶんうるさい蠅を叩こうとした少女に一言。「かわいそうなハエを、なぜそっとしておいてやらないのですか!」カフカは優しい、ゲーテは残酷、というわかりやすい話ではない。だが、この二人はあまりに違いすぎる。カメラのネガとポジのようだ。本だってどう?白と黒で差をつけちゃって。悉く対立する二人が実際に会ったら“会話”が果たして成り立つか。 2019/09/13
miyu
62
とにかくゲーテの前向きっぷりに羨ましいやら圧倒されるやら。この人のこの明るさは何なんだろうなぁと考えながら読み進めてゆくうちに、はっと気がつく。カフカは40そこそこで亡くなったが、ゲーテは80越えまで生きた人だもの、いくら恵まれているからといっても人生山あり谷あり。彼くらい明るく前向きじゃなきゃ、やってられないよなと。実際ゲーテは沢山の愛する人たちに先立たれている。それでも精力的に文筆活動や政治や恋愛(!)に走り続けた人生には感嘆のみ。読メでは圧倒的に絶望名人カフカが大人気だけど、私は敢えてゲーテ推しで。2015/03/12
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
61
時代を超えて読み継がれている二人の作家、ゲーテとカフカ。彼らの遺した言葉をゲーテ=明=希望と、カフカ=暗=絶望で対比させた本。【希望と絶望の名言対決】はすごくエキサイティングです。言葉の突き抜け方がとんでもない。頭木弘樹さんの解説もすばらしい。解説を読むと言葉の深さがいっそう際立ちます。多くの不幸に見舞われながらも、脳天気までに自信家でポジティブだったゲーテ。「ネタか?」というほどネガティブなカフカの言葉から、逆に勇気をもらえる不思議。手許に置いておきたいし、この本の日めくりカレンダーが欲しいです♪2014/07/12




