出版社内容情報
ロマンス、陰謀、笑い、インチキ、そしてこの上なく科学!
内容説明
2006年8月、冥王星はこれまでの太陽系惑星の地位を剥奪され、準惑星に降格した。その事件の“犯人”となったのが本書の作者マイク・ブラウンである。冥王星に次ぐ「10番目の太陽系惑星」を発見し、一躍時の人になった天文学者がなぜ“冥王星キラー”と呼ばれることになったのか?その人間味あふれる天体発見史をなぞりながら、天文学の醍醐味を味わう、良質の科学読み物。
目次
第1章 惑星とは何なのか
第2章 惑星、その発見と修正の歴史
第3章 月はわが宿敵
第4章 惑星探しと婚約指輪
第5章 氷の釘
第6章 太陽系の果て
第7章 二度あることは三度ある
第8章 天文学者は育児日記をつける
第9章 第一〇惑星
第10章 盗まれた天体
第11章 惑星なのか違うのか
第12章 卑劣でとても邪悪な男たち
第13章 不和と争い
著者等紹介
ブラウン,マイク[ブラウン,マイク][Brown,Mike]
カリフォルニア工科大学惑星天文学部のリチャード・アンド・バーバラ・ローゼンバーグ記念教授。地質学入門から太陽系の形成までさまざまな講座を教える。アラバマ州ハンツヴィル生まれ。プリンストン大学で物理学の学士号を、カリフォルニア大学バークリー校で天文学の博士号をそれぞれ取得
梶山あゆみ[カジヤマアユミ]
東京都立大学人文学部英文学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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ナカヂの雑多な本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いちろく
48
今は水金地火木土天海冥ではないのです!当時第十番目の惑星を発見した事で、冥王星が惑星では無くなるキッカケをつくった著者のノンフィクション。太陽系を変えてしまった本人が描くドラマチックな内容は、数式や専門用語を極力無くし専門知識が無くても読みやすく描かれている面で優しい。新惑星発見者としての名声よりも、惑星とは何か?に踏み込み現在の惑星形態を支持した著者の志も凄かった。2017/04/13
みや
38
冥王星が惑星から外される理由となる天体を発見した天文学者のノンフィクション本。宇宙の知識が無くても理解と納得ができる説明だけでなく、発見の困難や発表への苦難など普段は縁遠い科学者の姿も正直に綴られ、その信念の強さに感服するばかりだった。自らの栄誉より科学の真実を選んだ彼は、本当にかっこいい。科学と文化の折り合いや言葉が持つ定義と概念についても深く考えさせられた。実録物とは思えないほど、物語として非常に面白い。読んでいる間ずっと胸がワクワクと高鳴り続けた。翻訳も上手い。夢に溢れた、夢が広がる素晴らしい作品。2017/05/15
Norico
18
ドキュメントなのに随分とドラマチック。星についての知識は小学生以下だと思うけど、それでも面白く読めるブラウンさんに感服。太陽系で星を見つけてから、冥王星が惑星でなくなるまでは、恋あり敵あり、本当にドラマみたいで面白かった。そして何より「惑星」という定義がはっきりしていないってことに驚き。2021/02/04
もえたく
16
2006年、冥王星が惑星から降格された経緯を天文学者である著者マイクの私生活と絡めながら描いたノンフィクション。降格されたのはマイクが冥王星より大きい星エリスを発見したためであること、冥王星を惑星として残そうとする人達との争いなど知らなかったエピソードが満載でした。アメリカでも語呂合わせで惑星の順番を覚えていることにも驚いた。読み終わると夜空を見上げて惑星を探したくなります。2016/12/12
凛
14
冥王星が惑星じゃなくなる。少し前そんなニュースを「へぇ」と呟き眺めていた。そんな裏にこんな様々な発見とドラマがあっただなんて!第10惑星を発見したことで、第9惑星:冥王星を惑星から追放する原因を作った男の研究・私生活史。教授だけあって何の予備知識もなくすごく読みやすく書かれている上、惑星の勉強もできて内容は実にスリリング!科学を愛する純粋な気持ちゆえ、惑星発見という超偉業を自ら否定する姿勢が心を打つ。にしても「恋人にうつつを抜かしてこの頃の研究内容はあんまり覚えていない…」とかチャーミングすぎる。2014/01/15