内容説明
芸術か?プロパガンダか?国境を越え、ジャンルを越え、イデオロギーを越えて流転する〈革命の芸術〉。その東アジアにおける展開と受容の過程を中心に多角的に分析する。プロレタリア文学・左翼芸術運動×アダプテーションの新研究。
目次
1 東アジアを翻案する―セルゲイ・トレチャコフという回路(セルゲイ・トレチャコフと中国 政治と芸術の革命;ロシア極東のトレチャコフと「トゥヴォルチェストヴォ」 ほか)
2 終わりなき演出―文化越境者としての村山知義・千田是也(ネオ・ダダの都から転換の都市へ 村山知義が描いたベルリン;中国プロレタリア演劇におけるモダニズムと村山知義 築地小劇場から上海芸術劇社、木人戯社へ ほか)
3 境界/抑圧を描く―ジェンダー・セクシュアリティ・労働(プロレタリア文学に描かれた「子殺し」 平林たい子「夜風」を中心に;社会的再生産を可視化する 宮本百合子「乳房」と女性による左翼運動 ほか)
4 植民地・被占領地の文化実践―韓国・台湾・中国・満洲(リアリズム文学のモダニズム的読解について 廉想渉と金南天の場合;米と綿、そして移動する無産者たち 姜敬愛『人間問題』に見る一九三〇年代植民地朝鮮の経済と労働者階級の形成 ほか)
5 翻訳・翻案の政治学―文化移転の諸相(受け継がれる浮浪者の気勢 小林多喜二の初期作品にみるゴーリキーの影響;日米プロレタリア文学の往来 ナップ系メディアと雑誌『ニュー・マッセズ』を中心に ほか)
著者等紹介
村田裕和[ムラタヒロカズ]
北海道教育大学旭川校・教授。日本近代文学
越野剛[コシノゴウ]
慶應義塾大学文学部・教授。ロシア・ソ連文学、社会主義文化
田村容子[タムラヨウコ]
北海道大学大学院文学研究院・教授。中国文学・中国演劇
和田崇[ワダタカシ]
九州大学大学院比較社会文化研究院・准教授。日本近代文学・文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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