内容説明
現在の日本で最も人気のある演劇ジャンル、ミュージカル。東宝・松竹の興行資本による戦後黎明期から、新劇・アングラ、劇団四季、ジャニーズ、2.5次元ミュージカルや地域市民演劇としてのものまで、多種多様な形態を初めて包括的に論じる。日本の「ミュージカル」とは何か―。
目次
1 総論(戦後ミュージカルの展開)
2 黎明期のミュージカル(東宝ミュージカルの「起源」―秦豊吉と菊田一夫;松竹歌劇から松竹ミュージカルスへ;労音ミュージカル―総合芸術家たちの培養基;インタビュー ミュージカルとともに生きて)
3 音楽劇の多様化と深化(翻訳ミュージカルの歴史;百花斉放の創作ミュージカル)
4 ジャンルを超えたミュージカル(新劇ミュージカルとは何だったのか;アングラ和製ミュージカルの一九七〇年代―劇団未来劇場、東京キッドブラザース、ザ・スーパー・カムパニイ)
5 ミュージカルの現在形(市民ミュージカルの発展―「社会包摂型アート」の一事例として;2.5次元ミュージカル)
著者等紹介
日比野啓[ヒビノケイ]
成蹊大学文学部教授。専攻=演劇学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mstr_kk
3
これはとてもいい本でした! 編者の日比野さんの論文が、しっかり背骨になっています。同シリーズの『商業演劇の光芒』も日比野さんが編者だったらよかったのに、と思わずにはいられません。戦後、1960年代以降、商業演劇の中でミュージカルがヘゲモニーを握った経緯がよくわかります。2022/12/27
ちり
1
“だが、スタニスラフスキー・システムを基盤とした従来の俳優養成所が、日本でどれだけの成果を上げているのか/絵にすべてがある、絵にしか答えはない、と徹底して2次元キャラクターの身体化に取り組むことは、決して表面をなぞるだけに止まることはない。彼らにとっては、「キャラクターになる」ことが、「演じる」ことを自分のものにする方法論の入口なのである。能も歌舞伎も宝塚も、外面から入ることを徹底した直接伝承によってその基盤を作っている” 2018/02/06
tkm66
0
あまり期待して居らず、資料のつもりで購入。だが予想を裏切る面白さ!〈2.5次元〉まで言及して居るのも素晴らしい!好著!2021/03/04