内容説明
新派、新国劇をはじめ、東宝系演劇や松竹新喜劇などの多彩な「商業演劇」は、近代演劇史のうえでなぜ語られることが少なかったのだろう。明治末期から戦後まで、多くの人々の記憶に鮮明に残る黄金時代の輝きをよみがえらせる。いまはなき「大劇場」の面影とともに―。
目次
1 総論(「商業演劇」の光芒)
2 「商業演劇」への道程(帝劇の時代―“ヴァラエティ・シアター”としての大正期帝国劇場;新派=近代心性のアルケオロジー)
3 「国民演劇」の時代(「新国劇」という複合体;東宝国民劇の時代;「中間演劇」への道筋―極端な俳優・井上正夫の軌跡)
4 「商業演劇」の黄金時代(松竹新喜劇とはどんな演劇だったのか;東宝歌舞伎と芸術座;インタビュー 戦後の東宝系喜劇)
5 理想と夢の行方(歌手芝居の命運―最後の「国民演劇」;「近代化遺産」としての「大劇場」)
著者等紹介
神山彰[カミヤマアキラ]
明治大学文学部教授。専攻は近代日本演劇(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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浅香山三郎
14
「近代日本演劇の記憶と文化」といふ森話社のシリーズの一つ。本書の中の日比野啓氏の「松竹新喜劇とはどういう演劇だったのか」を読むのが、当初の目的だつたが他の論考も面白い。新派や新国劇、東宝歌舞伎、東宝系喜劇、歌手芝居、大劇場と、「商業演劇」の近代日本における比重は大きいのに、演劇史等の研究対象としてはまだ少ないのだといふ。松竹新喜劇についても、その人気の秘密を「観客が積極的に参加することで初めてわかる」魅力をもち、役者と観客のノリやアドリブを重視する伝統があつたからだと説く。折り目正しい顕教の芝居と、↓2018/07/25
mstr_kk
2
いい企画なのに! 編者の神山彰がひたすら文章が下手で、この人が書いている章(多い!)がまったく読めたものではありません。だれか何とか言ってあげればいいのに。編者が本のレベルを下げまくっているという、残念極まりない本です。もっとちゃんと、読者が読めるものを載せてくれないと、勉強になりません。編者が書いた章以外の章はよかったです。2022/12/24