内容説明
“逆賊”のイメージから解き放たれた武将53名の家名を残す戦い!
目次
第1部 東国武将編(足利基氏―東国の安定に尽くした初代鎌倉公方;高師冬―常陸攻略で活躍した関東執事;畠山国清―伊豆に散った薩〓山体制の功労者;上杉憲顕―上杉一族繁栄の礎を築いた重鎮;岩松直国―尊氏と直義の間で揺れ動く新田一族 ほか)
第2部 西国武将編(足利尊氏―室町幕府を樹立した南北朝時代の覇者;足利直義―兄との対決に惑う幕府軍総司令官;足利直冬―必然ではなかった父尊氏との対決;足利義詮―幕府を軌道に乗せた二代将軍;高師直―権勢無双を極めた初代幕府執事 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ばたやん@かみがた
102
《物語だけでは味わえない醍醐味》南北朝時代の尊氏などの主要人物への評価、武将間の人間関係等については、やはり元を辿ると軍記物語『太平記』に描かれた内容が我々の脳裏に刻み込まれていることに気付かされます。例えば、尊氏が実子・直冬に終始冷淡だった故に叔父直義が養子として引き取り、やがてそれが観応の擾乱に繋がったという記述は『太平記』にしか見当たらず、一次史料や官位昇進等の客観的事実からはそれを伺わせるものは何もないそうで、現在は俗説として扱われています。(1/3)2021/11/28
六点
75
次回の究極の猫の日は200年先と言う事実(その前には令和22年2月22日がある。頑張れ天皇陛下)に震えつつ、読了。『南朝編』も既読のため、百人以上の南北朝武将の列伝を読んだわけである。『南朝編』でも感じたことであるが、この時代の武将の移動距離は物凄いものが有る。畠山直顕の様に九州の僻陬へ移動して、キッチリと北朝方の仕事を熟しているのを見ると、意外と、このレベルの武将たちは共通語的に意思疎通ができたのかなと、思う。認識が改められた。ただ、幕府最上層部の行違いの多さに長距離通信の困難を思い知らされた。2022/02/22
Willie the Wildcat
73
勝者側の淘汰という感。まずタラレバ『桃井直常』。一貫して反尊氏。もっと史料があればなぁと、感じる武将。次に婆娑羅『道誉』。時に汚れ役も厭わない変幻自在さが印象的。史料の観点では、直冬の『天神地祇』。尊氏との対峙という苦渋の決断が滲む。一方、先日読み終えた『太平記』の記憶が蘇る場面多々。史実通りの点からは、『吉良貞義』との”決起”の瞬間と、『土岐頼遠』の光厳天皇への罵倒・狼藉。史実と異なるのが、『尊氏』反旗理由と、『直冬』の降参と尊氏の拒否。下世話だが、塩冶高貞の妻を巡る師直の醜聞も創作也。2022/02/23
サケ太
22
やはりめっちゃ良い本。足利尊氏がやっぱり好きだな。悪名で後世に名を遺した土岐頼遠について知れたのは良かったし、個人的に足利直冬と尊氏の関係性について認識が変わった。高氏の決意を後押しした一門の長老吉良貞義については個人的に好きな感じ。2021/09/25
MUNEKAZ
18
南朝編を超える総勢53名の武将が取り上げられており、なかなかのボリューム。南朝編でも感じたが、石橋和義、一色道猷といった単著では取り上げられないであろう武将の最新研究が、まとまって読めるのはかなりうれしい。南北朝の争い以外にも観応の擾乱による複雑な離散集合があるのが、北朝らしいところで、尊氏派・直義派を行ったり来たりしている斯波氏や上杉氏が幕府で栄達しているのに対し、尊氏派一筋の仁木兄弟や細川清氏が没落しているのを見ると、なんとも無情な気持ちにもなる。2021/06/08