内容説明
若狭守護として足利将軍を支え、戦国大名へ転身を遂げた名族の興亡。甲斐・安芸武田氏との関係や領国支配のあり方、主要家臣の出自・系譜、当主・家臣の文化活動も網羅。
目次
若狭以前の武田氏
第1部 若狭武田氏の歴史(守護大名武田氏;戦国大名武田氏)
第2部 若狭武田氏の領国支配・家臣団・文化(武田氏の領国支配;武田氏の主要家臣;武田文化―文と武と芸能)
若狭武田氏の大名としての評価
著者等紹介
河村昭一[カワムラショウイチ]
1948年、福井県に生まれる。広島大学文学部卒業、広島大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。兵庫教育大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MUNEKAZ
11
武田は武田でも若狭武田。畿内のマイナー大名家の歴史、統治、家臣、文芸活動がこれ一冊でわかるお得な内容である。もとは安芸武田氏からの別れで、守護大名としては後発であるということ。そのため若狭に十分な基盤を築けず、頻発する一揆や内乱で徐々に体力を失っていった感じか。ただ京との近さから文化面では充実しており、当主のみならず家臣にも文化的な素養の高い人物が多い。負け戦が多いとはいえ、畿内の戦乱をどうにか乗り越えてきたが、戦国期の当主・信豊の時期にお家騒動が起こりジ・エンド。最後まで家中の安定に欠く印象であった。2022/05/04
フランソワーズ
6
終章「若狭武田氏の大名としての評価」は、かなり手厳しい(でも正鵠を射ている)。小国ながら京の外港として、常に”天下”に規定される若狭。どうしても時勢に左右される国を長く治めてきた武田氏の動向を概説。逸見、粟屋、内藤、山県らの重臣との関係から浮き彫りにされる、当主権力の脆弱性も結局は若狭という国の特殊性が一因しているのかと。一方で文化面では当主だけでなく、京隣国ということで家中がその恩恵を受けていることがよく分かる。中でも粟屋親栄と三条西実隆の交流は、心が温まります。2021/07/25
娑婆乃呼吸
3
読むタイミングを逸していた一冊。 若狭武田氏についての知識がほぼないので、ざっと概要を理解できれば良いなということで割と流し読みな感じで読みました。 細川政元が活躍していた頃までは割と強か(強くはない)にやっていたのかな…。 ただ、永正の錯乱に止めを刺されるかたちでの丹後侵攻の失敗以降、どんどん権威が低下していき、やがて朝倉氏に当主が連行されて滅びていくというパッとしなさ。 それが若狭武田氏らしさなのかなあ。。。 第Ⅱ部の終章にて、「なぜ弱かったのか」と項目が立てられていて哀しくも笑ってしまいました。2022/07/29
イツシノコヲリ
1
この著者の書籍は「中世の播磨と清水寺」に続き二冊目。寺社政策・流通の項を中心に読み、後は主に前半を流し読みした。丹後松尾寺が登場する羽賀寺年中行事が興味深い史料だった。若狭武田氏についてはあまり知らなく、人名が覚えられないので大雑把にしか理解できなかった。若狭という都に近い立地も影響し、文化活動が盛んだったことが印象に残った。書籍自体は図が見やすく、若狭武田氏について幅広い内容でまとまっている。若狭の中世史を知るうえでは、「海の国の中世」と共に必須の書籍であろう。2022/10/26
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