内容説明
霊力を持つキツネが人に取り付く。その目的や因縁、誰が、どのような方法でキツネを祓ったか―。さまざまな事件や現象・症例などを検証し、江戸から盛んに行われた、不思議かつ魅惑的な動物信仰の真相に迫る!
目次
第1部 狐と寺社ところどころ(玉藻稲荷と女化稲荷;葛の葉稲荷;源九郎稲荷;長壁神社の狐;物ぐさ太郎と狐女房;狐と狸の僧侶たち)
第2部 江戸の稲荷を読み解く(江戸の稲荷の起源と隆盛;江戸の“狐稲荷”;瘡病と狐と稲荷;火防と稲荷の御利益;下町の稲荷社が急増)
第3部 “狐付き”と“狐落とし”(狐付きの型と仕組み;狐落としの方法;狐の細分類と意味範囲の拡張;謎だらけの「狐待ち筋」という家柄;「狐待ち筋」の成立と問題点;近世の狐付きについての学説)
著者等紹介
中村禎里[ナカムラテイリ]
1932年1月7日、東京都に生まれる。1958年東京都立大学生物学科卒業。同大大学院理学研究科生物学専攻博士課程修了。早稲田実業学校教諭を経て、1967年立正大学教養部講師。助教授、教授、1995年仏教学部教授。2002年定年退任、名誉教授。2014年、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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すったもんだ
1
難しい…。膨大なデータ量。図、注釈、()、が多い多い。専門書ですね。前巻を前提にしているところも多々あり、それを知らずにこちらを購入したのもありますが、それにしても難しかった。もうほとんどギブアップです。頭に入らない。2021/06/12
眉毛ごもら
0
狐女房や玉藻の前、葛の葉などの物語に出てくる狐とそれを祀る神社。江戸で流行した稲荷神社のご利益属性や立地、狐憑きとの関係。狐憑きと落とし方、憑きもの筋管狐やトウビョウなど中近世の狐との人間の関わりを文化的に考察している。東国のほうが狐信仰が強かったり宇迦之御魂神を祀っているはずの稲荷が狐を祀る神社に変化したり。たしかに昔は稲荷は狐のお使いを持つ狐の神社だと思ってたなと。天狐地狐の分類が段々俺の考えた〇〇系狐と細分化されていくのは設定厨ぽい。狐信仰の多少で憑きもの筋の傾向が変わってくるとかは面白いと思った。2021/09/16
わ!
0
すごい本だ!しかもこの著者は、この分厚さで、同じ様な内容の本を既に刊行しており、この本が二冊目と言うこともすごい。まさにこの中村禎里さんが、現代における狐の俗信についての第一人者であることは間違いないだろう。少し「目からウロコ」だった内容としては、稲荷信仰にあらわれる狐と、狐単体を信仰するものとは明確に区別しているところである。これはおそらく、ものすごく根気のいる調査の結果なのだろう。(結果、2冊とも読ませていただきました!)2020/12/15