内容説明
希少な構図・文字情報・スタンプ等、古写真には見られないさまざまな手がかりを駆使し、城郭資料として絵葉書の活用を試みる!戦災等で失われてしまった貴重な建物の姿から、兵営・官公庁・公園など近代における城郭活用のあり方を探る。
目次
総説 絵葉書と城郭研究
第1部 東日本編(弘前城;盛岡城;仙台城;本荘城;山形城 ほか)
第2部 西日本編(彦根城;淀城;丹波亀山城;園部城;大坂城 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
六点
7
明治維新後、世情が落ち着くと、旧時代の象徴とされた城郭も、所謂「名所」として、観光の対象になり、お土産としての絵葉書が大量に生産された。北は弘前城から、南は首里城までの城郭を、古写真として、絵葉書の画像に見る城郭を分析している。各章は短く、実に読みやすい。戦災で消失した城に「残っていれば」と慙愧の念を催させられ、「最新の研究と考証により復元された」はずなのに、なんか残念な出来になっていたりと、古建築復元の困難さを見せられた。維新以後150年を閲し、その間の城郭の変転を見、近代の長さに目が眩む。2021/01/09
kumataro33
1
図書館本。在野の城郭研究者である著者が個人的に収集した明治~昭和戦前の絵葉書を、北は弘前城、南は首里城まで計64城、各2枚ずつ取り上げて分析されている。現在ではわずかな痕跡すら残っていない建物、戦後に復元されたが色々な制約から細部が異なっている建物、現存するが絵葉書の姿とは異なっているものなど、各城郭の態様はさまざまである。石垣や堀、現存建築物など「往時の姿を今に伝える」と言われる遺構も、各時代における利用のされ方によってその姿を微妙に変えており、それゆえ考証には難しさが付きまとうのだと知った。2021/07/08
katashin86
1
城郭学者たる著者が趣味として集めていた絵葉書をもとに、城郭が明治を迎えてどのように改変されていったのかを現状との比較をしつつ検証する本。失われた天守や櫓・門に思いをはせたり、往時とズレた「復元」に残念な気持ちになったり、いろんな気持ちになる一冊。2021/02/05